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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第5章 螢惑星
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異常な事態

登場人物

蚩尤しゆう…………邪神。

季平きへい…………国の司徒しと。三公のひとり。三桓氏さんかんしと呼ばれる。

叔孫豹じょそんひょう…………魯国の司馬しば。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

孟献もうけん…………魯国の司空しくう。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

陽虎ようこ…………三公に仕える魯国の若き重臣。

尊盧そんろ…………あやかし。黄色い瞳の武者。蚩尤に仕える九黎きゅうれいのひとり。

赫胥かくしょ…………妖し。短槍の手練者てだれ。蚩尤に仕える九黎のひとり。

風沙ふうさ…………妖し。美貌の持ち主。蚩尤に仕える九黎のひとり。

蒼頡そうけつ…………妖し。剣の手練者。蚩尤に仕える九黎のひとり。

軒轅けんえん…………妖し。老爺ろうやの姿。蚩尤に仕える九黎のひとり。

裴巽はいそん…………魯国の若き将校。妖しの飛廉ひれんしもべに持つ。

太皞たいこう…………妖し。老婆の姿。蚩尤に仕える九黎のひとり。


夸父こほ…………巨人の妖し。性質たちは狂暴。隻眼せきがんで緑の皮膚。

 操人蟲そうじんちゅうに占拠された人体は、日増しにせ細る。操人蟲は、宿った人体が使い物にならなくなったと判断すると、その人体を捨てて再び耳よりい出る。操人蟲に捨てられた人体は、腐り果てるだけだった。

「何じゃ、お主らは?」

 男どもに縛られた縄を解きながら、老爺ろうや軒轅けんえん叔孫豹じょそんひょう陽虎ようこに尋ねた。

「私は陽虎と申す者。こちらは三公のひとり、叔孫豹さまです」

 ずとした叔孫豹に代わり、堂々と返答したのは陽虎だった。

「ほう。陽虎と叔孫豹とな。わしに何用じゃ?」

 軒轅は、しわを深くした満面の笑みを二人に返した。

「新兵の数はどれほどになったかと、蚩尤しゆうさまが申しておられます」

 軒轅は顔をほころばせ、男どもの縄を解いていた。解かれた者は、依然として横になったままだった。どれもその眼に生気はなかった。

「まだ百五十ほどじゃ。操人蟲を増産するのも難儀でな。宿すのなら、活きの良い若人の方が長持ちするのだがのう」

 作業を止めた軒轅は、叔孫豹と陽虎をじっと見詰めると、ぞっとするような残忍な薄ら笑いを口辺に刷いた。

「――――⁉」

 叔孫豹と陽虎は、軒轅の笑みには何も答えず、そそくさときびすを返すと、その場から立ち去った。

 おぞましいものでも見たように、叔孫豹の血色は悪かった。

「こ、これは本当に現実なのか? この異常な事態は、いつまで続くと云うのか……」

 陽虎の前で肩を落として歩く叔孫豹が独語した。

 時を同じくして、玉座の間に姿を現したのは、白髪を振り乱し、両のまなこを閉じた盲目の老婆だった。薄汚れた白装束をまとい、杖を突いたその老婆は、水晶を片手にしている。

「これはこれは、太皞たいこうどの」

 老婆の太皞を認めた尊盧そんろが、さっと身を寄せその手を取ると、蚩尤の前まで誘った。

 頬杖を突いた蚩尤は、不敵な笑みを浮かべてただした。

「どうした、太皞? 何か見えたか?」

 荒げた呼吸を整えると、太皞は深い皺の走った顔を引きらせて語り出した。

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