表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第5章 螢惑星
71/191

奸邪の企み

登場人物

蚩尤しゆう…………邪神。

季平きへい…………国の司徒しと。三公のひとり。三桓氏さんかんしと呼ばれる。

叔孫豹じょそんひょう…………魯国の司馬しば。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

孟献もうけん…………魯国の司空しくう。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

陽虎ようこ…………三公に仕える魯国の若き重臣。

尊盧そんろ…………あやかし。黄色い瞳の武者。蚩尤に仕える九黎きゅうれいのひとり。

赫胥かくしょ…………妖し。短槍の手練者てだれ。蚩尤に仕える九黎のひとり。

風沙ふうさ…………妖し。美貌の持ち主。蚩尤に仕える九黎のひとり。

蒼頡そうけつ…………妖し。剣の手練者。蚩尤に仕える九黎のひとり。

軒轅けんえん…………妖し。蚩尤に仕える九黎のひとり。


夸父こほ…………巨人の妖し。性質たちは狂暴。隻眼せきがんで緑の皮膚。

風沙ふうさどのの意見はもっともです。上質な人の生き血は、風沙どのを更に美しくするのですから」

 玉座の蚩尤しゆうへ身を寄せながら、尊盧そんろが麗人の風沙に微笑を湛えた。

「あら、わかっているのね、尊盧」

「風沙どのは、私にとって母のようなお方ですから」

 風沙は、嫣然えんぜんと微笑み返した。

「何か良い知恵はあるか、蒼頡そうけつ?」

 玉座の横にはべった蒼頡が、四つの切れ長の眼を細めた。

夸父こほどもに、若い男女を宮廷に拉致らちするよう教え込みましょう。男は兵に、女はかてとします。童と老人は役に立ち申さぬ。これまで通り、夸父の思いのままでよろしいかと」

「どうだ、風沙?」

 蚩尤は、口辺に微笑を湛えてただした。

「素敵!」

 顔をほころばせた風沙は、抱いた幼児を上機嫌であやした。

「これで兵も増えるということか。隣国に攻め入る計画も前倒しとなりそうだ。おい、叔孫豹じょそんひょうとやら、お前の位は司馬しばだったな? 新兵は今どれほどか、軒轅けんえんのところに往って見て来るがいい」

 頬杖を突いたままの蚩尤が、窓辺の叔孫豹に六つの鋭い視線を向けた。

 たちまち全身に電流が走ったような叔孫豹は、蚩尤に臣下の礼を取って応じた。

「か、かしこまってございます」

 それを見た季平きへい孟献もうけん陽虎ようこに目配せした。一緒に往ってやれということのようだった。

 蚩尤の命に素直に応じた叔孫豹は、青褪あおざめた顔で恰幅かっぷくの良い身を揺らして玉座の間を後にした。それに陽虎がそそくさと続く。

「蚩尤さまは、新兵を見て来いと云われたが、その新兵とやらはどこにかくまわれておるのだ?」

 後方から身を寄せる陽虎に、焦燥感にさいなまれたような叔孫豹は口早にただした。

「応接間に幾つもの床几しょうぎを用意し、そこで新兵に処置を施していると聞きましたが……」

「応接間だと――⁉」

 眼をいた叔孫豹が声を荒らげた。

 新兵と云っても、夸父が拉致してきた男どものことだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ