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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第3章 義星
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火炎の試練

登場人物

藺石りんせき…………藺家の当主。槍の達人。八人の子息を持つ。

藺授りんじゅ…………藺家の長子。苛烈かれつな槍の名手。

藺離りんり…………藺家の次子。槍の手練者てだれ。道徳的な思想を持つ。

藺翼りんよく…………藺家の三男。豪快な槍術の持ち主。

藺冑りんちゅう…………藺家の四男。鋭敏な槍術の持ち主。


火鼠かそ…………炎を自在にあやかし。

「くっ!」

 咄嗟とっさ藺離りんりは、父の槍で玉炮ぎょくしゃくを斬り上げた。二つに割れた玉炮は、藺離の身を避けるようにその後方まで飛び、地に着くとぜた。

 続け様に火炎の放射が藺離を襲う。それをかわしても、また別のところから火炎が藺離の身を焦がした。まるで、火鼠かそが何体もいるようだった。否、火鼠の素早い動きが、藺離には何体もいるように見えていた。

 火鼠は、矢継やつばやに口から火炎を放ち、徐々に藺離との距離を詰めた。突如、火鼠が宙に跳ねた。足の間から勢い良く炎の尾で藺離を仰いだ。

 身を焼くほどの熱風が、藺離を後方に弾き飛ばした。間髪入れず、上空から五つの玉炮が、一挙に藺離へ降り注ぐ。

「さあ、どうする……?」

 暗闇で絶え間なく点滅するような炎の明かりに、藺石りんせきは独語した。

 藺離は、斬撃を頭上へ五つ走らせた。苦し紛れのそれに見えた。しかし、炎に照らされた藺離の双眸そうぼうは冴えていた。

 閃光のような斬撃は玉炮を斬り、割れた玉炮が地に落ちて爆ぜた。

 熱い爆風が、縁側に立つ藺石のほほを打つ。

 勝ち誇ったような火鼠は、二足で立つと爆ぜる炎に視線を注いでいた。

 すたっと、火鼠の後方に何かが着地したようだった。

「――――⁉」

 慌てたような火鼠が振り返った刹那せつなだった。

 小さな火鼠のからだ穿うがったのは、年季の入った槍だった。

「火をあやかしよ、我がしもべとなれ――」

 火鼠に冷たい視線を注ぎながら云ったのは、藺離だった。

 藺離は、五つの玉炮を斬ると同時に跳躍した。地に落ちた玉炮、その爆風の威力を借りるようにして、更に天高く跳躍していた。小さな炎が揺れている。暗闇でもそれとわかる火鼠の炎尾だった。宙で火鼠の位置を捉えた藺離は、その背後に着地していた。

 すうっと、火鼠の姿が消えると、辺りは全てが暗闇に覆われた。

「見事」

 藺石の声が聞こえた。

「その槍と火鼠はお前にくれてやる。当主の座に就くかどうかは、お前が決めろ、藺離」

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