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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第2章 礼星
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手練者八人

登場人物

介象かいしょう…………方士。干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの三剣をびる。

元緒げんしょ…………方士。介象の師であり、初代の介象。

巩岱きょうたい…………細作しのびのもの。介象に仕える。

丘坤きゅうこん…………美質な弓の名手。あやかしの狻猊さんげいしもべに持つ。萬軍八極ばんぐんはっきょくのひとり。


蚩尤しゆう…………邪神。

含光がんこう承影しょうえい宵練しょうれんの三剣はどうしたというのだ? そう安々と解かれる封印ではない。三剣がなくば、再び蚩尤しゆうを封印することは難儀じゃ」

「…………」

 黙した介象かいしょう見遣みやると、丘坤きゅうこんは澄んだ声音こわねを発した。

「我が丘家は、蚩尤の復活に備え、方術に磨きを掛け、代々後世に伝えて参りました。蚩尤により世が混沌に陥る前に、介象さまに付き従い、身命を賭してそれを防ぐのが我が宿命。三剣がなくとも萬軍八極ばんぐんはっきょくさえ集えば、再び蚩尤を封印することができましょう」

「丘家か。我が八番目の徒弟とてい末裔まつえい、丘坤よ、よくぞ申した。それにしても、八番目の徒弟はいかつい丈夫じょうぶじゃったが、時を経てこれほどの別嬪べっぴんが生じようとは、これも人というものの妙じゃな」

 丘坤は、にこりと微笑んだ。

「待て」

 力強い声を放ったのは、介象だった。

 即座に丘坤から笑みが消えると、その視線は介象に注がれた。

「当世の介象は、俺だ」

「ほう。大きく出たな。対手あいては手強いぞよ、介象」

 耳元で云った元緒げんしょ他所よそに、介象は丘坤の手に注目した。

 掌には、幾つもの肉刺まめができていた。どれも、堅くなって破れることを繰り返したようなそれだった。

「よほど鍛錬したと見える。お主のような手練者てだれが八人もいるのは心強いな」

 介象は、丘坤に眼を細めると続けた。

「だが、残りの七人を探し当てたところで、蚩尤に太刀打ちできるのか? 聞けば、いにしえの戦は軍勢を用いたようだが……?」

「いかにも」

 元緒が意気揚々と応じた。

「何か策はあるのか?」

「ない‼」

 ただした介象に、元緒は更に声高になって返した。

「ここより南にすうという城郭まちがございます」

 語り出した丘坤に、介象と元緒が視線を遣った。

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