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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第2章 礼星
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萬軍八極の捌

登場人物

介象かいしょう…………方士。干将かんしょう莫邪ばくや眉間尺みけんしゃくの三剣をびる。

元緒げんしょ…………方士。介象の師であり、初代の介象。

巩岱きょうたい…………細作しのびのもの。介象に仕える。

丘坤きゅうこん…………美質な弓の名手。あやかしの狻猊さんげいしもべに持つ。萬軍八極ばんぐんはっきょくのひとり。


蚩尤しゆう…………邪神。

 立ち止まった介象かいしょうに、その騎馬が寄せて来た。

 眉はひいで、(くちは紅く、聡明そうな瞳だった。馬上の娘子は、介象の前で駒を止めると、下馬して拝跪はいきした。

 すると――。

 拝跪した娘子の肩越しに、すうっと、獅子のような頭が宙に出現した。

 介象の背後から感じられる視線が消えていた。

「ほう。狻猊さんげいとは、久方振りにお眼に掛かるのう。視線の主は、此奴こやつであったか」

 云ったのは、介象の肩に鎮座した霊亀の姿の元緒げんしょだった。

 娘子は、爽やかな微笑を湛えた。

「御無礼をお許しくださいませ。極主さまを探し当てるため、狻猊をつかっておりました」

 一礼を施した娘子は、美質の顔から笑みを消すと、真摯しんし眼差まなざしで告げた。

「私は、萬軍八極ばんぐんはっきょく末裔まつえい丘坤きゅうこんと申します」

 頭だけ宙に浮いていたような狻猊の姿が、すうっと消えていた。

「…………?」

「ば、萬軍八極じゃと――⁉」

 いぶかしむ介象を他所よそに、顔色を変えたのは元緒だった。

 その元緒は、おもむろに丘坤の右手首に視線を移した。

 それを察した丘坤は、袖をくって八芒星はちぼうせいの痣がよく見えるよう右腕を差し出した。

 丘坤のあざをまじまじと見遣みやった元緒は、息を飲んで続けた。

「右腕に八芒星……。萬軍八極のひとりに相違なかろうが、お主が現れたということは……」

 銅鑼どらのような声音こわねを放った霊亀の元緒に、丘坤は臆することなく頷首がんしゅしてみせた。

「ここへの途次、の都、曲阜きょくふは、得体の知れない者どもの巣窟そうくつと化したと耳にしました。その脅威は、日増しに大きくなりましょう」

蚩尤しゆうが目覚めたと申すか――⁉」

 声を大きくした元緒に、丘坤はこくりとうなずいた。はっとしたような元緒は、唸るように呟いた。

「近頃の地震ないは、蚩尤の仕業しわざであったか……」

 狼狽うろたえたような元緒の様子に、合点がてんのいかない介象が怪訝けげんな顔を向けた。


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