表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第1章 邪神
16/174

服従の三公

登場人物

昭公しょうこう…………国の第二十五代君主。三公により魯国を追放される。

季平きへい…………魯国の司徒しと。三公のひとり。三桓氏さんかんしと呼ばれる。

叔孫豹じょそんひょう…………魯国の司馬しば。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

孟献もうけん…………魯国の司空しくう。三公のひとり。三桓氏と呼ばれる。

王子喬おうしきょう…………冥界より派遣された方士。

蚩尤しゆう…………邪神。

陽虎ようこ…………三公に仕える魯国の若き重臣。

裴巽はいそん…………魯国の若き将校。あやかしの飛廉ひれんしもべに持つ。


かん…………狸に似た隻眼せきがんの妖し。

鐸飛たくひ…………怪鳥の妖し。人面で一足。

 玉座の間は、むせるほど血の匂いが充満している。

 重臣たちは半分ほどがたおされ、その盾となったような閲兵えっぺいたちは、深手を負った五人ほどが生き残っていた。

「貴様の名は?」

 六つの眼で射るような眼差しを送っている。蚩尤しゆう陽虎ようこに視線を移すと、低いが良く通る声音こわねただした。

「……陽虎」

 臆することなく、射返すような眼つきで陽虎は昂然こうぜんと名乗った。

「反骨の相が出ているな、陽虎。貴様もわしに仕えることを許す」

「なっ――⁉」

 突拍子もない許可に、陽虎は眼をいて息を飲んだ。

 蚩尤は、陽虎の反応に北叟笑ほくそえむと続けた。

「貴様が身を呈して護っておったその凡夫ぼんぷは何者だ?」

 恐怖でふるえている。陽虎は、頭を抱えながら身を屈める三桓氏さんかんし一瞥いちべつした。

「……三公の季平きへいさま、叔孫豹じょそんひょうさま、孟献もうけんさまだ」

「三公?」

 蚩尤は、首を傾げて怪訝けげんかんばせを陽虎にさらした。

「君主に次ぐ官職、司徒しと司馬しば司空しくうを以って三公と云う」

「ほう。今はそのような官位があるのか」

 蚩尤は感心すると、頬杖を解いて足を組み直した。

「季平、叔孫豹、孟献、貴様らも今より儂に仕えよ」

 その声に、さっと身を起こしたのは三公だった。季平、叔孫豹、孟献の三人は、屍骸しがいを踏み越え、蚩尤の前まで身を寄せ拝跪はいきすると、臣下の礼を取った。

「この季平に何なりとお申し付けを」

「この叔孫豹、以後、身を賭してお仕え申そう」

「この孟献、犬馬の労もいといませぬぞ」

 拱手きょうしゅした三公は、慇懃いんぎんこうべを垂れた。

「貴様はどうするのだ、陽虎?」

 あざけり笑ったような蚩尤が陽虎に質した。

 陽虎は、重い足取りで遺骸いがいを避けながら三公の後ろまで歩み寄ると、拝跪はいきして臣下の礼を取った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ