P9:心が折れた愚者
ゲ「おーいクノ、洗濯物ここに…」
大「あー…おかえりなさいゲンジロウさん…」
ゲ「な!?なんじゃ!?なんでここにおる!?」
俺はクノさんの隣で不貞腐れたように倒れ込んでいた。
ク「スライムに心を折られたみたいですよ」
ゲ「スライム如きに心を折られた!?」
大「スライム“如き”って…あんなのバケモノじゃん!!」
ゲ「まさか、死んだのか?」
大「倒したけど」
ゲ「じゃあ問題ないじゃろう。それに死の不安もないのじゃし、何をそんなに怯える必要がある?」
大「痛みだよ!痛み!腕を溶かされるあの感覚はもう…トラウマ!」
ゲ「だらしがないのう、…仕方がない、あまり気は進まぬが…これをやろう」
*痛覚軽減バッジを手に入れた!
大「は!?なんでこんな便利なものを渡さなかったの!?」
ゲ「このバッジは外部からの痛みを軽減する、じゃがその分、死に気づきにくかったりするのじゃよ」
ゲ「じゃから、これは高レベル冒険者のような輩しか使わん代物なんじゃよ」
大「え?なんで?みんな使えば良いじゃん」
ゲ「バカ言え、何のために痛覚があると思っとるんじゃ」
ゲ「それにじゃな…充電をすることによって“膜”を張るんじゃ。ダメージを受け過ぎるとすぐに充電が切れてしまうし、使い勝手が悪い」
大「ふーん、でもこれがあれば頑張れるかも!」
ゲ「一応使う時は素肌に付けるんじゃぞ、付けると自動的に効果が発動するじゃろう」
大「わかった!ありがとう!」
ゲ「本当に大丈夫じゃろうか…。それと、最後に伝えておくんじゃが、インベントリは…」
そう言いつつ、振り返ったゲンジロウが見た光景に大地はいなかった。その代わり、に玄関から日光が差し込んでいたのであった。