P3:先代勇者の過去
大「…あの」
?「なんじゃ?」
大「ここは何なんですか?」
?「ここは地球から200億光年離れた星『マインスター』じゃよ」
大「マインスター?でも、あの青空を見たからには信じるしかない…」
?「…そうじゃな」
大「ところで、長老と呼ばれるあなたは誰ですか?」
?「ワシか?ワシはゲンジロウ、この丘の村の村長じゃよ」
大「へーそうなんですね」
俺がゲンジロウさんと歩いていると、石造りの広めの家に辿り着いた。ゲンジロウさんが中に入って行くので、慌てて付いていくと、出迎えてくれたのは白髪の長身のお姉さんだった。
?「おかえりなさい、ゲンさん」
ゲ「あぁクノよ、ただいま」
大「ゲンさん…?」
?「そちらの方は…?」
ゲ「こいつか?お前さん、名前は何と言う?」
大「えと、大地です」
ゲ「地球人らしい」
ク「そうですか…!遠路遥々…!お茶でも出しましょうか?」
ゲ「そうじゃな、お願いしようかの」
ク「わかりました」
大「綺麗…」
ゲ「ナッハッハ!そうじゃろうて!クノは世界一じゃからな!」
そう言って玄関の近くにあった薪の束を退かすと、床に重々しい正方形の鉄のドアが現れ、ゲンジロウさんが開けると、そこには地下への階段が現れた。そして、ゲンジロウさんは淡々と階段を降り始めた。
大「(ポカーン)」
ゲ「何をボケっとしとる?はよ付いて来い」
大「わわ!すいません」
ゲ「…して、今の元号は何じゃ」
大「元号…?」
ゲ「明治とか、昭和とか色々あるじゃろうて」
大「今は…平成ですよ」
ゲ「戦争は…どうなった」
大「戦争…?」
ゲ「第二次世界大戦のことじゃ、日本は今どうなっとる」
大「第二次世界大戦…。日本は…敗戦しました」
ゲ「…そうか」
大「…」
ゲ「…」
大「なぜ、そのようなことを?」
ゲ「…今から丁度70年前に、日本人が来たんじゃよ」
大「そうなんですか?」
ゲ「あいつは正義感溢れる青年じゃった、じゃが、魔王討伐前夜に地球へ戻ったきり帰ってくることは無かったのじゃ」
大「それって…」
ゲ「ワシはあいつから大体のことは聞いておったからわかっておる、帰って来なかった…帰って来れなくなったあいつの仲間達が力を合わせて魔王を討ち倒したのじゃ」
大「魔王…」
ゲ「ま!あいつの仲間達も上で再会出来ておると思うと良かったと言ったものじゃな!」
大「日本は敗戦後!平和に向けて歩み始めたんです!たがら…!だから!」
ゲ「…そうか…良かった」
大「…」