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第三十四章 アラトの挑戦再び その1

34.1 敗者復活戦申込


 第一回戦が全て終了し、アラトが敗北してから一夜明けた。


 なぜか、アラトとギリコはアラトの部屋でお互い向かい合い正座をしている。


「あら、あら、ギリコさん、一体全体、どういうことですか?」


「許してぇ~、アラトォ! 許してよぉ~」


「ギリコさん、まぎらわしいから、わたくしのモノマネ止めてださい!」


「アラトだって、ボクのものまね止メレ、マジ、止メレ!」


 二人は揃ってにらめっこしているかのように膨れっ面になっている。


「あのね、ギリコ、僕のモノマネ止めてもらえないでしょうか?」


「だって、アラトが悪いんだもん、先にウチのモノマネ始めちゃうからだもん、怒ってるんだぞぉ、プンプン」


 ギリコが両手を頭に乗せると人差し指だけ立てて、鬼の角に見立てる。どこかで学習したブリッ娘ポーズ鬼ッ娘版なのだろう。破壊力抜群のブリッ娘ビームで爆死しそうになるのをギリ耐えるアラト。


「あ、あのですね、す、すんませんが、途中でキャラ設定変更するのだけは、マジ、や、止めてください……」


 二人がなぜ、こんなおふざけをしているかというと、いろいろと訳があるのだが……。


「第一回戦第十六試合でアラトは死闘を繰り広げ、重傷を負いながら惜敗せきはいとなってしまった。超絶美人先輩ギリコはアラトへの愛を証明するため、トーナメント運営本部に掛け合い、アラトの敗者復活を嘆願するのであった。続く……」


 ギリコが真顔で冗談をのたまった。


「ギリコさん、嘘はいけません、嘘は! それに、いったい誰に向かってナレーションしてるんですか?」


「愛するアラトさんに向かってですわ! ギリコがアラトさんへの愛を証明したのは事実です!」


「単なるごとの証明だよね、それって」


「ざ、ざれご……そんなぁ、非道いですわ……」


 床に倒れ込んで、ヨヨヨと小芝居を続けるギリコ。


 こんな小芝居までできるようになるとは! このアンドロイドの学習能力恐るべし!


「大会運営本部に嘆願したわけじゃないよね。さぁ、真実を明かしてもらおうか、義理子先輩!」


「こうなってしまっては仕方ありません。きちんとご説明いたします」


 観念したギリコが身なりを整え、正座し直した。


「えー、コホン。では。

 第二回戦に進出する選手は計16枠。しかし、二つの試合が両者敗北になっていましたので、2枠が空席状態。

 そこで敗者復活戦があるものと想定し、それを確認しただけです。そして空席2枠を埋める敗者復活戦が正式発表されました。

 本日の正午までに敗退者の中から敗者復活戦の出場申請をすれば、明日以降、敗者復活戦が実施されることになっただけのことです」


 澄まし顔で一度両目をつむったギリコが、コソッと片目だけ開ける。アラトの反応を待っているらしい。


「でも、ギリコってIQ10,000だから、そんなんもっと前から想定してたよねぇ、僕が負けちゃう前から」


「もちろん、わたくしが頭脳明晰、容姿端麗であることは事実です。ですから、先ほどからその点についてさんざん謝罪をしているではありませんか」


「ギリコが美人なのを謝罪しろとか言ってないし。

 昨日の時点でそれ知ってたんだから、僕が1時間も土下座して謝り続けなくても良かったじゃんか! ギリコの右ストレートパンチで鼻血出して貧血で寝込むし!」


「アラトさんが鼻血を出したのは、ご自身の不器用のせいです。

 そのあとの膝枕でお尻ペタペタ触るから、ロイヤルストレートフラッシュパンチを繰り出しただけです」


「ちょ、ちょっとしか、触ってないです!」


「ちょっとでも十分有罪です。査問委員会にかけますわよ」


「査問委員会とか怖くないもん」


「オホホホ、甘いですわアラトさん。世界征服者が開催する査問委員会は全て一方的で超理不尽、どんな御託を並べようとも懲罰から逃れられません!」


 ギリコの脅迫に屈したアラトが焦り始める。


「えーと、ちょ、超絶美人のギリコ様! たしか、僕を口説き落としたいんですよね。だったら、ちょっとぐらい、その……、いいじゃん、ねぇ」


 考え事をするギリコ。急にニタッと口角を上げ悪戯っ子の表情を見せる。


「そうですか……。そんなにわたくしのヒップにお触りしたいのですか~。どうしてでしょうねぇ~、どうしてですか、アラトさん?」


「だって……、ギリコがヒップの仕上がりは芸術的だって自分で言い張るから、その、確認しなくちゃって……、ゴニョゴニョ……」


 アラトの声がしだいに小さくなる。


「アラトさん、わたくしの魅惑的なボディーに興味がおありなのですかぁ~?」


「そうじゃないよ! ギリコが嘘つきかどうか確認する必要があるし!」


「そんな言い訳まかりとおりません! とにかく、わたくしに惚れたというわけですね! でしたら、わたくしの任務は本日をもって完了ということで……」


「ち、違うよ! 絶対違う! 断固として否定する!」


 声を張り上げるアラト。


「そうですか……」


 シュンとするギリコ。


「まぁ、いいじゃんか、今、そんなことは! そんなことより、敗者復活戦申し込まないと!」


「そうですわね。わたくしも、より多くの情報を収集するために参戦しますわ! アラトさん、敗者復活戦がんばりましょう!」


 急にニコニコし始めるギリコ。


 アラトはちょっとだけびっくりした表情を見せた。意外にチョロいな、などと思いつつ。


 その後、二人とも敗者復活戦出場を申し込んだ。



【作者より御礼】

 数ある作品群から選んでいただき、かつ、継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。


【ポイント評価の心からお願い】

 継続して読む価値がある作品だと感じていただいてる読者様、どうかお願いです。面白い作品になるようにと、一生懸命頑張ってきました。作者へのご褒美と思って、ポイント評価をお願い申し上げます。

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