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第二十四章 プロゲーマーVS女子高生 その2

24.4 プロゲーマーVS女子高生 試合模様その一 プロゲーマー側


『……3、2、1、ゼロ』


 ゼロと同時に、女子高生はカシャリと写真を撮った。ゲーマーを正面に見据えて写真を撮ったなら、撮影対象がゲーマーであることは明白だ。


 そしてあろうことか、彼女はゲーマーに背中を向け、対戦相手とは逆方向へとゆっくり歩き出す。スマホをいじりながら。明らかに我関せずという態度だ。


(なんだぁ、この小娘なめてんのかぁ!? オレの逆鱗に触れたなぁ~、容赦しねぇ!)


 ゲーマーはギリッと歯噛みした。


(お前が何を企んでも、オレの勝利は揺るがないんだよ!)


 ゲーマーは本気でこの大会の優勝を狙っている。彼の所有するチート級SSRカードがそれを可能にするからだ。


 最高峰のチート級SSRカード。


 『勝利確定カード』×3枚

 :カードを出すだけで審判が勝利を宣言する。相手にダメージを与える必要もない。これ以上のチート能力は、この大会において存在しないだろう。


 二つ目のチート級SSRカード。


 『敗北無効カード』×1枚

 :ポケットに入れるなり身につけていれば、万一敗北しても、自動的に敗北を無効とする効果が発動する。


 三つ目のチート級SSRカード。


 『五分間巻き戻しカード』×1枚

 :自分と対戦相手だけ5分前の状態に戻す能力。

 5分間起きた出来事そのものを、現実世界で巻き戻し再生するかのような現象が発生し、5分前の状態へと戻される。両者とも巻き戻し現象を実感、認識できる。


 消費したエネルギーも破損した物体も元の状態に戻るので、時間が巻き戻ったように感じるが、時間軸は変動しない。

 闘技場外に影響を及ぼさないので、観戦者もその現象を認識できる。


 四つ目のチート級SSRカード。


 『五分間絶対防御カード』×5枚

 :敵のあらゆる攻撃を5分間防いでくれるバリアを生成する。防御できない攻撃技は存在しない。


(優勝するには5連勝が必須。そしてオレは3枚の『勝利確定』がある。これを試合開始と同時に出せば、無条件で勝利するから、一回戦と二回戦をしのぎさえすれば優勝確定なんだよ!

 相手が悪魔だろうが怪獣だろうが関係ねぇ! 審判が勝利宣言するんだから、どう間違っても勝ちになる。

 優勝しちまえば、オレの欲しい物が手に入るんだ! 絶対に負けられねぇ、世界チャンピオンの名に懸けて!)


 実のところ、徳川政宗は女子高生を相当なめていた。


 優しく降伏勧告すれば、棄権すると踏んでいたのだ。だから、女の子を痛めつけずに勝つ方法を、まったく考えていなかったのだ。


(クソォ~、まさか、棄権しないとは思ってなかった。容赦しねぇと言っても、そういうわけにもいかんし、やりづれぇぜ)


 女子高生が何も仕掛けてこないことが、ゲーマーに精神的余裕をもたらしている。焦らずゆっくり考えることにした。


(ほかの攻撃系カードも自由に使いたい放題。ただし、カードの使用は大会の全試合を通して1回限り、同じカードを2度使えないと聞いている。無駄使いせずに勝つ方法を考えるんだ)


 ゲーマーは足元に置いていた黒いアタッシュケースを開き、200枚近くあるカードを引っ張り出した。


(これだ、これが使える。これなら問題ないぜ)


 ゲーマーは『失神毒針攻撃カード』を手に取り、床に叩きつけた。それでカードが有効に機能するはず。


 ゲーマーを囲むように毒針が空中に多数出現する。


「行けぇ!」


 女子高生に向け、毒針発射を命じた。


 吹き矢の如く毒針が次々に女子高生に向けて飛んでいく。その少女の背に刺さると思った刹那せつな、急に毒針が失速して地面に落下していった。


「なにぃ? どういうことだ? 失神毒針の命中率は80%を超えるんだぞ!」


 ゲーマーがいぶかしげに叫んだ。


「な、なんだ、おかしい……」


 ゲーマーがフラッとその場で倒れ込む。完全に気を失う前に、失神毒針がなぜか自分の足元に刺さっていたことに気づいた。


 カードの名称のとおり、失神するゲーマー。


「いったいどういう……、そんなはず……」



 §   §   §



24.5 プロゲーマーVS女子高生 観戦模様その一 アラトの部屋


「あれれ、気絶しちゃったよ、あの気取りまくってる兄ちゃん。それに、あのジェイケイもスマホいじってるだけだし。ギリコ、何が起きてるかわかる?」


「申し訳ありません。情報不足です」


 観戦モニターの前で、しばらく試合状況を見守る二人。


 10分ほど待っていると、ようやく審判が会場内放送にて女子高生の勝利を告げた。どうやら、10分間気絶が続くと負け判定になるらしい。


 と、思った矢先、


『大変申し訳ありません。只今の試合結果につきまして訂正いたします。女子高生の勝利判定は撤回となりました。試合は引き続き継続いたします。混乱を招いてしまいましたことをお詫びいたします』


「へっ、どゆこと?」



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