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第二十四章 プロゲーマーVS女子高生 その1

24.1 第一回戦第十二試合 プロゲーマーVS女子高生 対戦情報


 観戦モニターに表示されている対戦情報より。


 闘技場について。


 本日の闘技場は、昨日と同じCタイプ。


 ドーム型の閉鎖された密閉空間。


 オンライン対戦ゲーム世界チャンピオンについて。


 プレイヤー名:徳川政宗。


 トレーディングカードの記載内容を実際に発動させる能力。


 女子高生について。


 本人希望により全て開示不可。



 §   §   §



24.2 プロゲーマーVS女子高生 試合開始前 アラトの部屋


『シアイカイシ、3プンマエ』


 会場中央の迫りから、人間二人が入場した。


 一人は普段着の男性、もう一人は女子高生。


 男性は20歳くらいの茶髪イケメン。


 ジーンズにシャツという大学生ふうの格好。キャップ系の帽子を深く被り、マイク付きヘッドホンをしている。今どきのオンラインゲームプレイヤーは皆こんな感じなのだろうか。


 足元に黒い本革のアタッシュケースを置いている。


 オンライン対戦ゲーム世界チャンピオンというだけあって、『オラオラなめんなヨ、俺は有名人なんだからヨ』的オーラを発散している。端的に言えば、とても気取っている。


 女子高生。


 どっからどう見ても日本の女子高生。セーラー服も特徴のない至極普通のもの。プリーツスカートを意図的に短くしているのもちょっとした愛嬌だろう。


 サイドテールが似合っているかわいらしい少女。


「アラトさん、ヨダレ!」


「いや、さすがにこの娘、若すぎるよ。高校一年生くらいじゃないかな? 僕、ロリコンじゃないもん!」


「そうですか。では、単なる変態ということで許して差し上げます」


「ワーイ、ヤッター! って、違うわ!」


「そんなごとより、こんなかわいらしい少女が、『おパンツ作戦』を実行するとはとても思えませんが」


「するわけないじゃん! って、どっちが戯れ言だよ! う~ん、しかし、実際どうやって戦うんだか。情報なしだし……。やっぱ変身するとか?」


「魔法少女枠埋まっております」


「異世界の女戦士召喚!」


「女魔導剣士はつい先日」


「くの一!」


「男ですが、かぶってます」


「ぬぅおー、わかんねぇ! それと、オンラインゲームチャンピオンの能力ってなんか、スゴくね? メチャメチャチートキャラの匂いがするんだけど……」


「おっしゃるとおりですわ」


「どんだけのことができちゃうのか、まったく想像できんというか、恐ろしいというか、戦いたくないなぁ~」



 §   §   §



24.3 プロゲーマーVS女子高生 試合開始前 プロゲーマー側


「キミ、日本人の女子高生? オレも日本人なんだ。徳川政宗って聞いたことない? これでも一応、ネットゲーム業界では、そこそこ名を知られているんだけど」


「……」


「キミ、無口なんだ。まぁ、よろしくね。

 ちなみに、キミの能力はなんだい?

 オレは、オレが所有するトレーディングカードが実際に発動するって聞かされてる。別にオレ自身が異能の使い手とかじゃないけどね。オレをここに招待してくれた人がさぁ、そんな感じで説明するから来てみたんだ。興味本位で。

 で、ほかの試合とか見てたら、そんな戯言たわごともあながち嘘じゃないと思ってね。今日初めて試すんだけど、女子高生相手にムキになれないし、できたら棄権してくれないかな?」


「うるさい」


 スマホをいじりながら少女は小声で答えた。


「なんだ、やっぱり話せるじゃん。頼むからさ、棄権してよ。『降参します』って言うだけで、怖い思いしなくて済むしさ」


「……」


「そう、ダンマリするんだね。痛い目にあっても、もう知らないよ。ちゃんと忠告したから」


 その可憐かれんさとは裏腹に、ジッとプロゲーマーを見据えている少女。


 ヤレヤレと肩をすくめるプロゲーマー。


 彼のオンラインゲームプレイヤー名は『徳川政宗』。


 RPG、シューティングゲーム、格闘ゲーム、レースゲーム、シミュレーションゲームなど、さまざまなカテゴリーのオンライン対戦ゲームにおいて、世界チャンピオンの座をほしいままにしてきた。


 プロゲーマー業界で、彼の名を知らない者は世界中どこにもいないという伝説級のプロゲーマーだ。


 そんな彼が今現在、世界チャンピオンとして君臨しているのがトレーディングカードゲーム『ザ・インフィニティレベル』。


 ゲーム内容は古めかしいが、20年以上人気が衰えないオンラインゲームなのだ。


 その『ザ・インフィニティレベル』は、ただ高額のトレカ——トレーディングカード——を所有しているだけで断然有利になるという、非常にバランスの悪い金持ちの道楽的ゲームだ。


 であるにもかかわらず、勝てば相手のトレカを戦利品として、つまり無料で受理できる——制限や条件あり——というハイリスクハイリターンのギャンブル性も人気の秘密となっている。


 トレカを長年収集してきたコレクターも多いため、トレカの売買取引によって収益を得る商売人も世界中に多数存在する。


 そして、世にも珍しいSSRカードを所持することが、プレイヤーにとって最高のステイタスであり、夢であり、この上ない至福なのだ。


 さらに、毎年種類が増えるSSRカードのウソのようなチート能力も、人気に拍車をかけている。


 彼は、これまでにゲームで稼いだ賞金を元に、1枚一千万円を優に超えるトレカを多数所有している。彼にかなうプレイヤーはどこにも存在しないだろう。


 単なる人間の彼が運営サイドから特別に与えられた、この大会限りの特殊能力は、彼が会場に持ち込んだトレカ——実際にはただの紙切れ——の内容を現実化させるというもの。どういう方法で実現可能なのか彼自身知らされていない。


 具体的には、炎や雷といった魔法攻撃や、モンスターを出現させることができる。


 一方的にトレカを使用できるのは、とても公平なゲームと言えないが、この大会に限って言えば、魔法使いが魔法を行使する感覚と変わらない。少なからず、運営はそのように判断している。


 彼がトレカを使用するタイミングは、最初に使用した一枚のトレカの効果が終了すれば、次のトレカを使用できるといった具合だ。使う本人とすれば、非常にわかりやすい。


『シアイカイシ10ビョウマエ、9、8、7……』


 セーラー服の少女は、手に持つスマホを腰の辺りに下ろしていたが、急に顔の前でスマホを構えた。ゲーマーから顔が見られないようにスマホで隠している。



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