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第十八章 怪獣VS巨大ロボット その3

18.3 怪獣VS巨大ロボット 試合模様 巨大ロボット側 その3


「奴が完全復活する前に、ファイナルスマッシュサンダーでトドメを刺したい。可能か、アズ?」


『現時点でファイナルスマッシュサンダーをヒットさせた場合、対象を駆逐する確率は50%です』


「五分五分か、厳しいな。しかし、奴が湖に辿たどり着いたら、さらに厄介になるだろう。充填じゅうてんチャンスの今やるべきだ!」


『コマンド、アクセプト。ファイナルスマッシュサンダー発射準備』


 巨大ロボはホバー移動を停止し仁王立ちとなった。


 胸部の装甲パネルが4枚に割れ、X字を描くように上下左右に展開される。胸部の内部から四つのビーム照射装置が露出した。


 続いて背中のメインウイングを90度回転させて下面を正面へと向ける。さらに放電パネルになっているウイングの下面が、両肩よりも高くなるように上向きに角度を変えた。メインウイングがあたかも万歳をするかのような姿勢となり、放電パネルを正面に向けたのだ。


 同様に脚部のサブウイングが90度回転し、放電パネルになっているウイングの下面を正面に向ける。


 メインウイングとサブウイングに内蔵されている放電パネルが、ファイナルスマッシュサンダーの威力を最大限発揮させる役割を担っている。


 ビーム照射口が発光し始め、エネルギーが徐々に収束する。ウイング内蔵放電パネルに電気が走り電撃エネルギーが充填され、空気がピリピリと振動する。


 エネルギー充填時間はおよそ30秒、その間、巨大ロボは身動きできない。


 アレスマーズロボの動力源は太陽電池と燃料電池のハイブリッド式。四肢稼働などベーシックな行動は太陽光発電で補えるが、ビーム系兵器は燃料電池を激しく消耗させるため、随時補給が必要となる。


 アレスマーズファイナルスマッシュサンダーは、アレスマーズロボ最大最強の必殺兵器。エネルギー消費の影響は一番大きく、1回の出撃で2回発射が限界なのだ。


「クッ、奴め、湖に辿たどり着いてしまう」


『エネルギー充填完了』


「いくぞ! アレスマァァーズ、ファイナル、スマッシュサンダァァァァー!」


 ウイング内蔵放電パネルの電撃を集約しながら、胸部四つのビーム発射口から四筋の雷撃が照射された。


 海獣は湖につかる直前で、雷撃の奔流ほんりゅうが直撃。その凄まじい圧力を全身で受け、背後にある湖まで押される海獣。


「ぬっ、しまった! 奴が湖につかってしまう!」


 湖の中につかり全身を濡らした海獣は、水の中で激しく感電した。水飛沫を撒き散らし暴れる海獣、タコ足が湖面を幾度となく叩き続け、狂ったように激痛を訴える。


 一度発射したスマッシュサンダーは、およそ30秒間照射が続く。照射が終了した巨大ロボの胸部ハッチは閉じられ、ウイングも元の状態へ。


 雷撃による感電だけでなく、高熱エネルギーの塊を浴び続けた海獣の全身は真っ黒に変色し、シューシューと音を立てて白煙が水蒸気とともに舞い上がっていく。


「やったか!?」


『現状分析中』


「さすがに生きているということはあるまい」


『生体反応あり』


「なんだと!? ありえん!」


 コックピットのモニターを凝視し、巨大ロボのカメラアイが捉えている海獣の黒い残滓ざんしを無言で観察するケンシロウ。


 湖に浮かぶ海獣の肉塊がモゾモゾとうごめく。これまでにない再生速度で復活し始める。再生が不完全だったサメ頭も、元通りに形成されていく。


『分析完了』


「奴は生きているのか?」


『アファーマティブ。

 対象の上半身は雷撃と感電によって細胞のほとんどが炭化しています。

 しかし、湖につかっていた下半身については、電気が水中で拡散し大ダメージを逃れています。クラゲの触手をアースとして利用し、湖底の地面へ電気を逃がしたと想定できます』


「それで生きているというのか……」


『アファーマティブ。

 ケンシロウが懸念したとおり、対象の再生能力は水分補給によって各段向上しています。

 すでに目視確認できますが、3割程度しか残っていなかった肉体が、8割程度まで復活しています』


「7割の肉体を失って、尚、再生可能なのか……」


『アファーマティブ』


「くっ、せめてスマッシュサンダーがあと2回使用できれば……。アズ、スマッシュサンダーを2回使用は可能か?」


『ネガティブ。発射は1回が限度です』


「ウイングミサイルフルバースト、ファイヤーキャノンフルショット、スマッシュサンダーのフルコンボで奴を倒せるか?」


『ネガティブ。最低でも2割の肉体が残ります。再生復活の可能性90%』


「くっ、奴は無限に再生できるのか……。そもそも倒す方法はあるのか……」


『サジェスチョン。

 対象を駆逐する一つ目の手段は、再生速度よりも速く超高熱で全細胞を消滅させる。

 二つ目の手段は、体内のどこかに存在する生命の核を発見して破壊する、です』


「奴に生命の核は存在するのか?」


『アンクリア。生命の核存在確率65%』


「どの道、アレスマーズのエネルギー不足が問題……」


『ケンシロウ、対象が急速接近中』


「アズ、ジェットエンジンの修理状況」


『コンプリーティッド』


「ヨシ! アレスマァァァァーズ、ジェット、ウイィィィィング!」


 上空に舞い上がる巨大ロボ。


 一方の海獣はすでに完全修復が終了し、巨大ロボへと向かっていた。空を見上げ、巨大ロボを目で追う。


 巨大ロボの真下にくるように追いかけ回し、可能なまでタコ足とカニ爪を天に向け伸ばす。手が届かぬ苛立いらだちを露にしている。


「再生直後でも奴は疲れ知らずなのか! アズ、奴は100時間戦闘継続可能か?」


『アンクリア。100時間戦闘継続体力維持の可能性75%』


「そうだろうな。どの道決着を早めなければ、こちらのエネルギー切れで負けが確定してしまう」


『アファーマティブ』


「ならば、アレを利用しよう! それしか手は無い!」


 ケンシロウは、コックピットのモニターに映るある物を指差し、アズに伝えた。


『コマンド、アクセプト』


「奴の電気ショックでジェットエンジンがまた使用不能になるかもしれん」


『コンプリーティッド。ウイング内蔵放電パネルを活用し、電撃を無効化するプログラミングを施しました』


「さすがだ、アズ! いくぞ!」



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