第十八章 怪獣VS巨大ロボット その1
18.1 第一回戦第九試合 怪獣VS巨大ロボット 対戦情報
観戦モニターに表示されている対戦情報より。
闘技場について。
本日も、昨日の第八試合に続きEタイプ。
直径1kmの半透明なドーム状バリアで隔離された空間。自然にあふれ、岩石地帯、森林地帯、湖などがある。
ドームバリアは超強力な高電圧と熱エネルギーで形成され、接触すると相応のダメージを負う。
怪獣について。
名称:『海獣シーギメラス』
さまざまな海の生物の合成怪獣。
全長23m。
巨大ロボットについて。
名称:『アレスマーズロボ』
搭乗操縦者:綾乃光寺 剣志狼
全長20m。
全身の装甲はSSR合金製。
火星で採取された人類史上最も頑丈な合金。外部からの爆発や衝撃、斬撃に対する硬さが最上級であるだけでなく、急激な温度変化、超高熱にも最上級の耐性が備わっている。加工方法は極秘。
VSTOL式ジェットウイングで飛行可能。
武装兵器
・アレスマーズハンドビーム
・アレスマーズパンチ
・アレスマーズウイングミサイル
・アレスマーズグレネード
・アレスマーズファイヤーキャノン
・アレスマーズファイナルスマッシュサンダー
§ § §
18.2 怪獣VS巨大ロボット 試合開始前 巨大ロボット側
『シアイカイシ、3プンマエ』
大きな檻が一つ闘技場に転送されてきた。中には海獣シーギメラスが閉じ込められている。
同じくアレスマーズロボも転送され出現、大地に降り立ち待機状態となった。
巨大ロボット、アレスマーズロボ。
サイズ的には、第二試合のドラゴンや恐竜と対峙しても見劣りしない巨大人型ロボット。胴体は真紅、頭部と上腕部・大腿部・ウイングが白、前腕部と下腿部が黒の3色からなる。
アレスマーズロボは、国際科学救助隊『アンダーハート』の対未確認危険事象対応部隊——人類平和維持を目的とし、未曽有の危機をもたらす脅威を排除するための特別部隊——に所属する世界で唯一の超高性能近代兵器だ。1兆円規模の予算を投じ、科学の粋を集めて建造された人類叡智の象徴。
「アズ、システムチェック」
『システムチェック完了。異常はありません』
「ヨシ。敵の解析開始」
『コマンド、アクセプト』
アレスマーズロボの操縦者である綾乃光寺剣志狼が、『アズ』にコマンドした。
操縦者であるケンシロウは外部から見えないが、アレスマーズロボの首の下にあるコックピットに搭乗している。
そして『アズ』は、アレスマーズロボに搭載されている巨大ロボットの戦闘操縦支援システムAI『AZ28』の略称で、ケンシロウがそう呼んでいる。
巨大ロボットの基本操作は全てアズが制御、搭乗者のケンシロウは作戦立案、武装使用許可を行い、AIがその命令を実行するというシステムとなっている。
檻の中で激しく暴れる海獣シーギメラス。
頭部がホホジロサメ、胴体と尾ビレ、背ビレがカジキ。カジキ胴体の腹部にタコ足とクラゲの触手多数。サメのエラ部分からカニの腕が生え巨大なハサミが二本。胸ビレがミノカサゴ。
海獣シーギメラスは、ホホジロサメ——別称、人喰いザメと呼ばれるほど危険な海の生物、その凶暴さは昭和の映画でも有名——の牙で、檻の鉄格子を何度も咬みつき破壊しようと試みる。その獰猛さは、咬みついて離さないドーベルマンにも似ていた。
海の生き物の合成怪獣ではあるが、檻の中の様子から、陸地でも平然と行動できるようだ。
『ケンシロウ、解析終了しました。
見た目どおり、海洋生物のキメラです。
飛行能力はありませんが、陸上における戦闘は制限なく可能です。しかし、本闘技場にある湖には近づけないほうが得策です。
重量、パワーともに、本機体と互角。熱系の攻撃が有効と判断。敵の具体的な攻撃手段については情報不足です』
「了解。まずは情報収集優先だな」
『アファーマティブ』
『シアイカイシ10ビョウマエ、9、8、7……』
§ § §
18.3 怪獣VS巨大ロボット 試合模様 巨大ロボット側 その1
『……3、2、1、ゼロ』
試合開始の合図とともに、檻だけが物質転送され、海獣が解放される。
海獣シーギメラスの移動手段はタコ足。タコ足が地上でウネウネとうごめき、這うように移動する。転がるボールのように前後左右に移動する速度が同じであるため、第二回戦の恐竜よりも機動性が高い印象だ。
「アレスマァァァァーズ、ジェット、ウイィィィィング!」
戦闘操縦支援システム『アズ』は、声紋認証でパイロットのコマンドを受諾するため、操縦者ケンシロウは常に声を張り上げてコマンドするのだ。まぁ、当然、ケンシロウがそうしたいからにすぎないのだが。
アズは指令どおり、巨大ロボのVSTOL式——垂直短距離離着陸式——ジェットエンジンを稼働させた。
巨大ロボの飛行システムは、メインのバックパックバーニア機構、脚部に付属された可動式サブウイングスラスター機構の二ツに分かれる。
メインのバックパックバーニア機構は、後方に突き出るように背中にマウントされている。そのバックパックに可動式ウイング機構が付属し、待機時は下向きに折りたたまれた状態。飛行時には、ウイング機構が左右に水平展開し、上昇するというシステムなのだ。
可動式サブウイングスラスター機構は、脚部——両足のふくらはぎ部分——にマウントされており、戦闘機の尾翼のような役割を果たす。
待機時は上向きに折りたたまれ、飛行時には左右に水平展開しスラスターで方向転換する。特に地上をホバー移動するときにその機能を発揮する。
ケンシロウのコマンドと同時にジェットウイングを展開し、巨大ロボは勢いよく上空へと舞い上がった。
檻から解放され自由を得た海獣シーギメラス、人喰ザメの凶暴性は健在。上空を旋回する巨大ロボをねめつける。本能なのか、巨大ロボを敵とみなしているようだ。
【ブックマークのお願い】
継続して読んでいただいている読者の皆様、誠に有難うございます。
是非とも、ブックマークの便利な更新通知機能をご利用ください。
【作品関連コンテンツ】
作品に関連するユーチューブ動画と作者ブログのリンクは、下の広告バナーまで下げると出てきます。