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第八章 未来人VSトレジャーハンター その3

8.5 未来人VSトレジャーハンター 試合模様その二 トレジャーハンター側 後編


 ゴーレム2体にケルベロス。圧倒的に不利と判断したのか、スミスはその場を離脱するように、会場の逆サイド、丘陵となっている岩石地帯へと向かった。


 ゴーレム2体がスミスを追いかける。2体とも走るという芸当は苦手のようで、歩いて追いかける。当然、スミスの最強バイクには追いつけない。


 とはいえ、5階立てのビルが大地を揺らしながら追いかけてくると想像すれば、結構な迫力だ。しかも、ゴリラのような極太の腕で殴られたら、ひとたまりもない。


 一方で、四足獣のケルベロスはその豪快な走りでスミスに肉薄する。猛獣のごとくうなり声を上げながら狼のような牙をむく三つの頭。


 しかし、1400ccのモンスターバイク——単にデカいという意味だが——には追いつけそうもない。


「やはり奴のバイクは相当やっかいだぜ。ゴーレムはこの広い会場に向いてねぇ。高みの見物でいけると思ったが……

 やもえねぇ、美人ちゃんに頼るとするか。すぐ駄々こねるんだよなぁ~、彼女は。

 さぁーて、本日のご機嫌はいかがかなぁ。ヌフフ」


 ジョーは不満なのか嬉しいのか複雑な表情を浮かべ、最後のシールドカプセルを取り出す。


「ニヒヒ、よろしく頼んまっせ、美人剣士ケンタウロスちゃん!」


 と呟きながら、シールドカプセルを足元で割った。


 白煙から半人半獣ケンタウロス——本体が馬、馬の首から上が人間の上半身——が出現する。


 上半身は女性でメタルシルバーの鎧を身にまとい、右手に西洋の両刃剣を携える。ブロンドロングヘアーで眼光の鋭い美人剣士だ。


「あーら、ジョォォォ、お久しぶりじゃない。あたしを長いこと閉じ込めておいて、今日はいったい何の用かしら?」


 ジョーが所有するモンスターの中で、唯一知能を有する存在。ジョーによって幽閉され自由を奪われていることを恨んでいるのは、ジョーも承知している。


「うぅぅぅま子ちゃぁーん、会いたかったよぉぉぉー」


「あたしを『うま子』と呼ばないで! マゴじゃないんだから!」


「ゴメンなぁ~、そんでよぉ、ちょっくらお願いがあってよ」


「人使い、もとい、馬使いが荒いわねぇ、ジョー、嫌よ!」


「そういうなよぉ、オレっちとうま子ちゃんの仲じゃん!」


「もう、ジョォったら、一回死んどく?」


 右手の剣をジョーの首元に当てるケンタウロス。


「わかった、わかった、うま子ちゃんの願い事きくからさぁ~」


「地中海旅行とダイヤのネックレス、あとニンジン」


「お安い御用だぜぇ、砂浜で駆けっこするなら、かわいいビキニも買った方がいいかなぁ~」


「じゃ、それもお願い」


「ヌフフ、オーライ!」


「約束よ、ジョー。で、あたしは何を?」


「あぁ、あいつをぶった斬ってほしい! 乗り物を叩き壊すだけでもいいぜ!」


「承知!」


 『はぁ!』とバイクに向け駆け出すケンタウロス。


「三つ首のワンちゃん殺しちゃダメだぜぇ!」


 モンスター界でも上下関係はあるようで、なぜかケルベロスはケンタウロスを襲わない。おそらく、敵わないと本能的に察知した相手に挑まないのだろう。


「さぁて、どう出る、鉄壁の未来人」



 §   §   §



8.6 未来人VSトレジャーハンター 観戦模様その二 アラトの部屋


「…………。ジョーって男臭いタイプかと思ったけど、バリバリ愛嬌の塊だなぁ~、笑い方がハリウッドのコメディアンみたいで好感度アゲアゲ」


「あら、あら、良かったですね、新人さん。ときに、もう揺さ振るのは止めてください」


「へっ? あれれ……。気づきませんでした。す、すみません」


《地獄の番犬と交戦中のスミス選手、ワルサーPPKの銃弾を数発ケルベロスにヒットさせているが、どうやら怪物の分厚い獣皮に阻まれ、ダメージを与えられないようだぜ!

 おっと、戦闘を化け物まかせで余裕ぶっこいてるジョー選手の新たな動き。なにやら4体目のモンスターを登場させちまったぜ! これは強面ブロンド美人のお姉さん!》


 スミスはケルベロスの執拗な突進から逃れつつ、攻撃に加わったケンタウロスが振り回す斬撃も、バイクマニューバーで見事躱かわしている。


 そこへ、2体のゴーレムがスミスのバイクに追いついてきた。


《馬と犬の挟み撃ち、おまけに2体のゴーレムまで追いついちまったぁ! 大ピンチのグレート・スミス、逃げ切れるのかぁ~?》


 バイクを走らせながら、メタルシルバーのバックパック側面から円形のガジェットを左手で取り出す未来人。


 最初にストーンゴーレムの股下を潜り抜けながら、円形ガジェットをゴーレムの足元に放った。右足で踏み潰される円形ガジェット。が、その右足が突如地面に固定され離れない。バランスを失ったストーンゴーレムは、隣にいたサンドゴーレムを巻き込んで倒れ込む。


 サンドゴーレムが倒れ込む直前、二つ目の円形ガジェットを地面に投げるスミス。その秘密道具は倒れ込んだ胴体の下敷きとなった。


《ついに出たぁぁぁ! 未来人グレート・スミスの未来兵器『重力地雷』だぁ! 今の今まで出し渋りしてた未来の秘密兵器第一号! ついにお出ましだぁ!

 『重力地雷』はおよそ10倍の重力作用で、何でも釘付けにしちまう魔法のアイテム! 地雷の上を通るだけで発動するぜ!》


 解説者テレオが絶叫するとおり、倒れ込んだ2体のゴーレムは地面に釘付けとなってもがいている。いくらゴーレムの肉体が不死身で破壊不可能としても、動けなければ戦力にならないウドの大木。


 スミスはケルベロスとケンタウロスを後方に引き連れたままジョーへと向け転身した。そのまままっすぐ一直線に加速。


《一方のトレジャーハンター、ジョー、表情に焦りが出ているが……。これはさすがに想定外。お互い武器や秘密兵器の詳細をいっさい知らされていない。

 そうすると戦略を組み立てにくく、この先の展開は完全に白紙状態! 解説のオラっちも先がまったく読めないぜ!》


 ジョーは唐突に、モビルスケートとサーカスアンカーを駆使し、地上でジグザグ走行を始めた。時速80kmは優に超える。


 スミスがバイクの機銃で狙うが、縦横無尽に駆け巡るジョーを捉えられない。きっちり狙いを定めようとしたのか減速するスミス。


 そこへ真後ろから肉薄し迫り来るケルベロスが、三つの大口を開け飛びかかった。そのタイミングで、スミスがフルブレーキング。急制動で止まりかけたバイクの尻に激突するケルベロス。


《な、な、な、なんということだぁ! スミスはこれを狙っていたのかぁ! バイクに頭から突っ込んだ怪物犬、その反動で大ジャンプするバイク、スミスがジョーの頭上を飛び越え、ジョーと怪物犬が激突だぁぁぁ!》



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