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第六章 戦闘メカVS宇宙生物 その4

6.3 戦闘メカVS宇宙生物 観戦模様 アラトの部屋 その四


 大型モニターのスピーカーから聞こえてくる声、テレオが興奮しながら戦況を解説している。


《ここに来て、最新情報! たった今発射態勢となった、あのミサイルについてだ! これは……、マジですか……、これはマジヤバイ! なんと、なんとアレは核ミサイルです!

 前線基地は武器をいっさい装備していないと勝手に判断してましたが、これは見事だまされたぁ! 最終手段として核兵器を搭載していたという超チート前線基地!

 しかも自身は核シェルターとくりゃ、どんなに不利でも絶対勝利!

 しかぁーし、この闘技場は無事で済むのかぁ~》


「せ、せ、せんぱーい! これ、絶対ヤバイやつですよね! このホテル大丈夫なんですかぁ~」


 アラトはソファーから跳ね起きて、義理子先輩のソファーにしがみつく。


「大丈夫です。わたしくしがいますから」


 アラトは初めて義理子先輩の存在に感謝した。彼女がはっきり『大丈夫』と言えば、間違いなく大丈夫なんだと、妙に納得できるのだ。しかも、トーンが本気だし。


 前線基地から発せられる警告音に気づいた宇宙生物X数匹が、ミサイル発射口を見て、ギィー、ギィーと顔を見合わせ、何かの合図かのように声を上げた。


 戦闘メカZ3機と戦っている宇宙生物X3匹を残し、宇宙生物X5匹が一斉に前線基地へと突撃し始める。


 戦闘メカZ3機が、それに気づいて前線基地へ戻ろうと転身するが、当然のごとく宇宙生物X3匹が後ろから追撃して阻止。


 戦闘メカZ3機は、宇宙生物X3匹からの攻撃を無視し、前線基地へと突進した5匹に向け、誘導ミサイルと対生物神経麻痺毒ガス弾を全弾発射。


 後方から飛来する誘導ミサイルをうまくかわせず、4匹にヒット。さすがにミサイルが直撃すると、宇宙生物Xのボディはバラバラに砕け散った。


 捨て身の攻撃を実行した戦闘メカZ3機も、宇宙生物X3匹による背後からの攻撃であっさり破壊される。


 戦闘メカZの時間稼ぎにより、前線基地は核ミサイルの発射準備が整ったようだ。


《もう、ダメだぁ! 核ミサイルが発射されちまうぜぇ!》


 テレオの絶叫と同時に、前線基地が真正面の宇宙生物X3匹に向け核ミサイルを発射した!


「新人さん、目をつむってください!」


「はい!」


 着弾は一瞬だった。

 閃光がモニター画面いっぱいに広がった瞬間、映像が消え、中継放送が完全に途絶える。巨大な爆発音も、鼓膜が破れてしまうほどもっともっと巨大な爆音に変わる直前にカットされ、アラト達の耳に届くことはなかった。


 使用された核ミサイルは、見た目の大きさ的にかなり小型の核爆弾だと推測できるが、ここの闘技場の狭さであれば、中に存在していたものは全て消滅していることだろう。


 あとは、核シェルターの機能を有する前線基地が無事かどうかによって勝敗がはっきりする。


 アラトたちは無言で中継が再開されるのを待った。


 アラトの心情としてはただただ呆然とし、速くなった心臓の鼓動が落ち着くのを待つほかなかった。そのためか、アラトたちが過ごしている建物自体に揺れなどの影響がまったく無かったことを、アラトはいっさい気づいていない。


 モニター画面が薄っすら明るくなり、どす黒いモヤのような映像が映り始める。中継が再開されたようだ。

 闘技場内の様子は、いまだ黒煙が漂っている。


《た、たいへんお待たせいたしました。ようやっと、中継が再開できるようです。今のところ、中の様子はうかがえません》


 核兵器の使用という衝撃的な展開に、さすがのテレオもテンションを下げざるを得なかった。彼の声のトーンがそれを示している。


 左右に移動するカメラ。黒煙の中で前線基地を発見し、カメラの映像がズームされる。


《あぁぁぁ、これはどうしたことか、前線基地も完全に破壊されています。こ、これは、相打ちという結果なのでしょうか》


 テレオの解説どおり、前線基地のキャタピラは完全に消失、全体が傾きかけ、てっぺんの司令塔部分形状が原形をとどめていない。


 その下部にある核ミサイル発射口から宇宙生物Xの黒焦げとなった死骸が垂れ下がっている。

 どうやら、核ミサイル発射直後、その発射口のハッチが閉じられる前に、宇宙生物Xが隙間に入り込んで完全にクローズするのを妨げたということが想像できる。


 その隙間から核爆発の膨大な熱エネルギーが核シュルター内部に侵入し、内側から破壊したようだ。


 そして、このドーム型闘技場の内壁は隅々まで真っ黒に焼け焦げ、大部分のコンクリートがはげている。さらに無数に深いひび割れがあるにもかかわらず、おおよその原形をとどめていることから、いかに頑丈に造られているか証明された。


 結局、トーナメント運営から相打ちという判断が下され、第三試合は両者敗北という結果に終わった。


 クリミナルターミネーターZ、サーペントX、両者第一回戦敗退!



 §   §   §



6.4 クリミナルターミネーターZ


 クリミナルターミネーターZは、国際警察・テロ制圧特殊部隊に配属されている戦闘メカだ。


 といっても、アラトが住んでいる地球のことではない。

 超人インヴィンシブル・スターや恐竜がパラレルワールドの地球出身であるのと同じように、この戦闘メカも、さらに異なるパラレルワールドの地球に存在している。


 ロボ・ファクトリーのAIが指揮する自律式無人部隊で、完全に無人で運用することで、警察または兵士の死亡リスクをゼロにする役割を担う。


 戦闘メカが存在する地球では国際犯罪抑制に大きく貢献する。特に重武装集団の制圧において、市街地のような雑多な環境下であろうとも、場所を選ばず素晴らしい成果をあげている。


 このたびの戦闘において相打ちという結果となってしまったが、地球外生命体やUMA——未確認生物——との戦闘も視野に入れた戦闘指揮AIのアップグレードが進められることだろう。



 §   §   §



6.5 サーペントX


 サーペントXは、とある未開の惑星で捕獲された未知の宇宙生物。ここでいう宇宙生物とは、地球外生命体を意味しており、宇宙空間で生存できる生物という意味ではない。


 この試合で見せた攻撃方法、および、会敵すると分裂を開始して増殖すること以外、多くのことが謎に包まれている。



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 数ある作品群から選んでいただき、そして継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。

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