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第六章 戦闘メカVS宇宙生物 その3

6.3 戦闘メカVS宇宙生物 観戦模様 アラトの部屋 その三


 試合開始後10分経過。2機対2匹。


《ここで解説するぜ。前線基地ロボ・ファクトリーが制御できるのは、常に3機が上限。てことは、3機目がやられたこの瞬間から、3機目を組立開始するわけだ。組立には3分が必須。

 つ・ま・り、試合開始後13分になれば、3機対2匹。

 そしてぇ! 15分になれば、3回目の分裂で、3機対4匹。これは目が離せないぜ!》


 テレオの解説により、両者が積極的に打って出ないことをうなずける。


 とにもかくにも、両者が互角なら、数で上回りたいというのは、自明の理。


「これ、戦闘メカヤバイですよねぇ、先輩。なんとなく負けそう。あの怪物、早いとこ敗退してほしいなぁ」


「わたくしも賛成です」


「珍しく意見が合いました、せんぱーい、ワーイ!」


 と、アラトがベリーナチュラルに先輩を抱擁しようとしたが、超絶美人先輩の見えないバリア、無言の圧力で、アラトは機能停止した。ザックリ言うと、諦めた。


 13分が経過し、3機目の戦闘メカZが出撃する。しかし、その鈍足のため、攻撃態勢を整える隙に15分経過。アッ言う間に、3機対4匹の状況に。


《うー、これはヤバイ! この驚異の生命力を持つ宇宙怪物が生き残ったら、人類は、いや、宇宙は滅びてしまう!》


 宇宙生物X4匹が同時に、攻撃を仕掛ける。


 上下左右に分かれて突進。地上をドームの壁にそって左右から回り込み、さらにドームの壁をよじ登ってい回り、上空から、かつ、左右からの挟撃態勢。


 ターゲットは移動式前線基地のようだ。どうやら、宇宙生物Xの知能はそれなりに高いと想像できる。


 戦闘メカZ3機は、それぞれ右肩の誘導ミサイルロックで、連続発射。しかし、縦横無尽に駆け抜ける宇宙生物Xはものの見事に全弾避ける。


 かわされたミサイルが、ドーム内側面のコンクリートにヒットする。落下するコンクリートの破片と粉塵で、白煙が大量に舞い上がり地上は視界を塞がれる。


 戦闘メカZ3機は塞がれた視界の中、左肩装備の対生物神経麻痺毒ガス弾を全弾発射。計6発分の毒ガス弾から神経麻痺ガスが黄色い煙となって、シューシューと散布され、前線基地周辺に充満する。


 黄色い煙と白煙とが混ざり、ますます視界が悪化する。


 煙の中で姿を消した戦闘メカZが放つガトリングガンの射撃音が鳴り響き、視界には発射時の閃光がところどころ浮かび上がった。


 しばらく煙の中で攻防が続いたが、徐々に静まり返っていく。3機対4匹による第二ラウンドは決着したようだ。

 煙が徐々に消え去り、状況が見えてくる。


 宇宙生物X3匹の死骸、および、戦闘メカZ3機が無残にも破壊されバラバラとなった鉄の塊が散乱している。


 やはり、単純に数の勝負だったようで、宇宙生物X1匹だけが、2本の腕を失いながらも生き残っていた。対生物神経麻痺毒ガス弾の効果も薄かったようだ。


《さぁ、勝敗の決着はまだついていないぞぉ! 移動式前線基地ロボ・ファクトリーは、ここから戦闘メカZのアッセンブリーをしなければならない。

 が、しかぁーし、クリミナルターミネーターZの本体はあくまでも、このロボ・ファクトリーそのもの。つまり、ロボ・ファクトリー自体が破壊されない限り、勝負は負けにならないのだぁ! さぁて、逆転の道筋はあるのかぁ!》


 一匹残った宇宙生物X、その前線基地に攻撃を仕掛ける。まずはキャタピラに口から吐き出す粘着糸を大量に吹き掛け、動きを止める。次に、尻尾から発射する微生物性腐食液を吹き掛けるが、全く損傷する様子はない。


《またまた緊急入電の新情報! なになに、おっと、どうやらこのチート級前線基地、核シェルターの役目も果たすんだそうだ!

 そうなると核兵器はもちろんのこと、ちょっとやそっとじゃ破壊は不可能、腐食液、溶解液もなんのその、スーパーインチキカチカチ兵器ってもんだぁ! まぁ、キャタピラだけは、そうもいかなかったが……》


 やがて、試合開始後20分が経過したらしく、その場で4回目の分裂が始まり、計2匹となった。


 宇宙生物Xは、前線基地の破壊が無理と判断したのか、元居た反対側のゲートへと戻って行く。


 それから3分経過で戦闘メカZが1機。1機対2匹。

 5分後には、宇宙生物Xが計4匹。1機対4匹。

 6分後に戦闘メカZが合計2機。2機対4匹。

 9分後に戦闘メカZが合計3機。3機対4匹。

 10分後に、宇宙生物Xが計8匹となった。3機対8匹。


 圧倒的有利な数となる宇宙生物X。しかし、前線基地はまだ破壊されていない。


「もうなんかドロ試合ですね、先輩。しかも、あの巨大カマキリがあんなにウジャウジャ増えると、気分悪いです。

 でもなんで、戦闘メカは全然攻撃しなかったんですかね? ミサイルとか装備してるのに。もったいないですよ」


「そうですね。わたくしもそう思います。

 しかしおそらくですが、ミサイルもガトリングガンも、あの距離では宇宙生物の俊敏な動きで避けられるとAIが計算しているのかもしれません。

 さらにですが、戦闘メカ側がミサイルやガトリングガンでの遠方射撃をすると宇宙生物Xを刺激してしまうわけです。そうしますと、前線基地が狙われ一斉に襲撃される可能性がでてきます。

 数のうえでの不利な状況が改善されない以上、徹底して司令塔の前線基地を守る選択をしたのではないでしょうか。

 その判断が完全に裏目に出てしまったわけですが」


「じゃ、あの基地を操ってるコンピュータが全然ダメってことッスよね」


「はい、そうですね。しかし……、あの前線基地が最後の手段に出なければいいのですが」


「最後の手段って、何ですか? 先輩」


「いえ、な、なんでもありませんわ、新人さん」


 珍しく義理子先輩の声が上擦うわずって、狼狽ろうばいした様子だ。わざとらしくソッポを向いて、アラトのほうを見ないようにしている。


 その行動も演技しているように見えなくもないが。


 宇宙生物Xはあえて攻撃を仕掛けず、さらに5分待つ戦略のようだ。そうすれば、16匹対3機になり、もっと待つことで無限に増殖できるという計算もしている可能性すらある。


《こ、これはマズいぞぉ! もしかしたら、闘技場を脱出して、そのまま逃げだそうという腹積もりなのかぁ!》


 意を決したのか、戦闘メカZ3機は負けるとわかっていて前進を始めた。


 すると、宇宙生物X8匹も前進し迎え撃つ。負けないということを理解しているのだろう。


 ドームの中央辺りで、8匹対3機の戦闘が始まる。


 すると、キャタピラが破壊され移動できない前線基地ロボ・ファクトリーの頭部にある司令塔から、ウィーン、ウィーンと警告音が鳴り始めた。そして、その司令塔下部にある小さなハッチが、カシャ、っと開く。ミサイル発射口のようだ。


「悪い予感が当たりましたわ!」


 急に、義理子先輩が叫んだ。



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