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第二章 超人VSサイボーグ その5

2.11 超人VSサイボーグ 試合模様その四 サイボーグ側


 スーパージクウナイツの5体は、倒れている超人を中心に円形に並んで立った。全員が円の内側に向きながら、あたかも正五角形、あるいは星形を作るように整列する。


 全機体が両手を前に掲げると、てのひらが発光し始める。


「行くぞ!」


 キャプテンが声掛けすると、全員が声をそろえて叫ぶ。


「「「「「五芒星ごぼうせい結界!!!」」」」」


 並んだ5体の足元から地表に沿って光線が伸び、5本の光線が結ばれると星形の模様が描かれていく。


 星形の模様が地表にできあがると、5体の両手から緑色のバリアのような光が広がり始め、直径5mほどの光の球体が完成した。


 半透明な光の球体バリアが完成すると、タイミングよく意識を取り戻した超人がゆっくり起き上がる。


「ムッ、これは!?」


 両手で球体バリアの内側を触る。


 エナジーグローブを展開し、両手でエナジーパンチを連打した。バリアはビクともしない。


 殴打を止めた超人は、無駄であることを理解したようだ。


「無駄だよ。たとえ無敵の超人でも、このバリアは破壊不可能だ」


「これが破壊不可能なバリアなら、お前たちもわたしを攻撃できないだろ」


「いや、こちらから一方的に攻撃できる。戦闘開始時、我々自身を転送したように、バリア内に核兵器を転送させ起爆させることが可能だ。このバリアは核爆発にも耐えうる結界でね」


 無言になる超人。


「わかってもらえたかな。これはとてもえげつない技でね。わたしたちも、核兵器で君を殺したくはない。

 君にはたいへん申し訳ないが、ここで棄権してもらえないだろうか。ただひとこと『負け』と宣言すれば、運営が試合終了にする決まりだから」


「それはできない相談だ」


「君は、こんなところで命を失っていい存在ではない!

 これから先も、無敵の超人として活躍してほしい。なんとかならないか」


「言いたいことは、それだけか……。お前の言うとおり、わたしは無敵の存在だ!」


 急に黙り込む超人。


 すると、胸にある十字型のオーナメントが、いつの間にか無色からオレンジ色に輝き始めていた。それはまるで何かのゲージが満たされ、何かが発動しようとしているかのようだ。


 超人の全身から闘気のようなオーラが見え始める。


「うぉぉぉー、スリーミニッツ!!」


 超人が雄叫びを上げた。


 同時に、身体がオレンジ色に輝き始める。超人の全身をエナジーバリアが包み込み、そのエナジーオーラがまばゆいばかりに輝く。


 それは、エナジーグローブの全身版なのだろう。


 超人が浮き上がると、エナジーオーラの分身が4つ出現する。


 超人本体と合わせて、計5つの姿がユラユラと揺らぎ始める。どれが本体で、どれが分身なのか区別がつかない。


 眩いばかりのオーラに包まれた5体の超人が放つゴールドに近い閃光は、見た目だけでも破壊力、スピード、耐久力など全てのパラメータが数倍アップしていると想像させてしまう。超人が『ハイパー化』したと形容してもよさそうだ。


 5体の超人が、五芒星結界の内側を猛スピードで殴り始める。1秒間にパンチを百発くらい繰り出しているのか、まるで腕が百本でもあるかのように絶え間ない打撃の残像が見える。


 そしてバリアの一点目掛けて、千発を超える無数の連続パンチが放たれ続ける。


 キャプテンの宣言どおり、バリアはビクともせずヒビすらも入らない。


 しかし『五芒星結界』を形成するメンバーであり、かつ、超人が打撃を繰り返す箇所に一番近いスザクの両腕がガクガク振動し始めた。もう1分くらい攻防が続いているが、結界の維持が困難になっていると一目瞭然だ。


「マズい! もう抑えきれない!」


 ついに耐えられなくなったスザクが後方へと弾き飛ばされた。同時にバリアが解除され、五芒星結界が破られる。


 猛スピードで、その場を脱出する超人。そのスピードは通常時よりも断然速い。


 間髪入れず、キャプテンを急襲する超人。


 ゲンブが身を投げ出し、間一髪、超人の飛行進路に立ちはだかるが、超人の突進でボディを真っ二つに裂かれる。


 キャプテンも超感覚制御で回避するが、超人の突進が少しかすっただけで身体が素っ飛ばされ、キャプテンの赤いボディがネジのようにグルグル高速回転しながら壁面へと激突する。


 その衝撃で、右腕が肩から損傷し制御不能となった。


 セイリュウが、ビームハンドガンを乱れ撃ちするが、全てのビーム弾が超人の幻影を素通りしていく。


 超人は空中を上下左右に細かく飛行し、4体の分身を引き連れて移動する。本体がどれなのか視覚的に捉えられない。ユラユラと揺れて、実体がそこに存在していないかのように錯覚する。


 射撃がヒットしないことを証明した超人は、セイリュウに向かって突進。セイリュウは回避行動をとるが、右腕を吹っ飛ばされ、錐揉きりもみ状態で壁に激突。首が折れて機能を停止した。


 スザクのスピード解析データがキャプテンに送られる。スザクのデータによると、ハイパー化した超人は、通常時の10倍の速度、最速マッハ100で行動できることを示している。


 続いて、パワー解析が得意なビャッコのデータを受信。


 その内容も、超人がバリアを破壊したパワーは、通常時の10倍であることを示しており、少なくとも10万トンパワー以上だ。


「無理だ、勝てない……」


 キャプテンは故障した右腕を押えながら、片膝を地面につき、茫然自失ぼうぜんじしつした。


 超人は次の攻撃対象をビャッコに絞ると、地面スレスレで飛行し、走るビャッコの両足を後方から捉えた。そのまま空中へと持ち上げ、全身を床に叩きつける。ビャッコの胸部と腹部が粉砕された。


 超人がビャッコを床に叩きつけた直後、空中で停止し、隙がわずかに一瞬生じた。スザクが狙いすましていたかのように、超人の後方からハイパービームスピアで切りつけヒットする。


 しかし、ハイパー化して超人の全身を覆っているバリアが斬撃を阻み、ダメージはいっさい無い。


 超人のハイパー化は、分身の存在で攻撃がヒットしにくいだけでなく、実体を捉え攻撃がヒットしてもバリアが守るという、究極の無敵状態なのだ。


 キャプテンは思考する。


 なぜ、超人は最初からハイパー化しなかったのか。ハイパー化するための条件があり、それが整うまでは発動できないのだろう。


 そして、いつまで続くのか。


 キャプテンの思考は、もはや勝利への道を探るものではなかった。仲間が次々破壊される姿を、手も足も出せない状態で眺めながら、いつ敗北宣言すべきかを考えていた。


 唐突に、超人に異変が起き始めた。気分が悪いかのように左手で頭を押え、右手で胸を押える。悪寒が走るのか、身体が震え始める。


 まず、分身が一つの身体に収束し、全身を覆っていたオーラが消滅し始めた。電気を失ったランプからゆっくり光が消えていくように、全身バリアが解除されていく。シュ~シュ~と身体から白煙が薄っすら漂う。


 突如、超人が落下しドスッと地表に激突。そのまま両手、両膝を地面につき、四つんいになった。


 まるで真っ白に燃え尽きたボクサーが、そこにたたずんでいるかのようだ。


 キャプテンは悟った。


 ハイパー化発動時に、超人が叫んだ『スリーミニッツ』は、文字通り3分間を意味し、3分後にはオーバーヒート状態になるのだと。


 もう一度、スーパージクウナイツ側に逆転のチャンスがやってきたのだ。


 その思考が、生き残ったスザクに伝わったようだ。


 スザクは、四つん這いの超人に近寄り、上から覆い被さる。


「キャプテン、今から自爆して勝利を導きます。どうかご容赦を」


「ま、待て! スザク! いいんだ、もうわたしたちの敗北だ。ほかのみんなを見ろ! わたしは仲間を救えなかった。負けたのはわたしの責任だ……。許してくれ」


 キャプテンはうなだれるようにその場に座り込む。


 スザクも諦めて超人から離れた。


 オーバーヒート状態から30秒ほど経過しただろうか。超人が再び起き上がり復活したようだ。


 ゆっくりと歩いて、キャプテンに近寄る超人。座り込んでいるキャプテンの肩に手をやり、気持ちを伝える。


「キャプテン、いい戦いだった。こんなに苦戦したのは初めてだ。わたしが負けていたとしても不思議ではない」


 超人が床に座り込んだキャプテンに左手を伸ばす。キャプテンがその左手を握ると、超人が彼を引き上げた。


 いつも不愛想な雰囲気の超人が口角を上げ、笑みを浮かべた。そして両者はお互いを尊重し合うかのように、グッと握手を交わす。


 その後、キャプテンが正式に敗北を宣言すると、場内放送により超人側の勝利が伝えられた。


 第一回戦第一試合、ついに決着。


 超人インヴィンシブル・スター、第二回戦進出!




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 数ある作品群から選んでいただき、そして継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。

 誠に図々しいお願いとなりますが、お手間でなければ、ポイント評価をお願い申し上げます。

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