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第三十七章 主人公VSスライム その2

 アラトは作戦どおり単調な逃避行動を2時間続け、ようやく惑星破壊キャノン砲ブッパの時がやって来た。


「あ~、たった2時間でも長く感じる。これでなんとか死んでくれ!」


 惑星破壊キャノン砲の発射ボタンは肩のパーツにある。外すともったいないので、飛行して空中で停止。狙いを定める。ノロノロ動く標的なので、照準を合わせるは非常に楽だ。


 安全装置を解除すれば、ゴーグルに照準装置が表示されるシステム。発射ボタンに手を掛ける。


「安全装置解除! エネルギー充填じゅうてんテキトー! 照準オッケー! 惑星破壊キャノン砲発射よぉーい! ファイヤァァァー!!」


 発射ボタンを強く押下してから長押し。


 右肩に設置された惑星破壊キャノン砲の本体部分がグワングワン重厚感ある音を発しながら、砲口が青白く輝きエネルギーの粒子みたいなものが収束し始める。


 10秒ほどの溜め時間を要し、強烈な閃光とともに惑星破壊キャノン砲を発射した。


 ビシュー、という轟音ごうおんが続き、ビーム系エネルギーの筋が奔流ほんりゅうとなって照射される。


 ナナメ下方向に照準を合わせていたが、長い照射時間の反動により、アラト自身が背中側上方向に向かって徐々に浮き上がっていく。ヘルメットのすぐ脇にある砲身から熱が伝わってきて、頭の右半分に熱がこもる。


 アラトは、アメスライバの肉体が、ジュッ、といって一瞬で溶けるように消滅していくのを目視で確認。


「ヨシッ! これならいける! って、なぁにぃぃぃー!?」


 突如、予想せぬ出来事。

 アメスライバが急に飛び退くようにジャンプした。しばらくのちに、キャノンのビーム照射も終える。


 アメスライバは肉体を半分ほどに減少させると、身軽になったためか、かなり低いジャンプではあるがビームを避けるように横へと跳ねたのだった。


「げっ、マジかぁぁぁ!」


 一度の発射で完全に倒すことはできなかった。


 しかも明らかにアメスライバの移動スピードは倍加している。


「マ、マズいぞ、これは……」


 惑星破壊キャノン砲を初めて使用してわかったこと。


 惑星破壊キャノン砲は一定時間照射型ビーム兵器である。


 発射開始まで10秒のタイムラグがある。


 そして、照射中はキャノンの砲身が固定され、途中で発射方向をずらすことができない。さらに、反動で後方に移動してしまい、思ったよりブレてしまうのだ。


 つまり、ビーム照射中に敵がヒョイと逃げてしまったら、照準が追随できない。


 おそらく、ビーム照射のヒットした肉部分が一瞬で蒸発するため、ビームによる圧からすぐに解放され、抵抗なくその場から逃げることができるという理屈だ。


 通常の敵の場合、攻撃がヒットした部位が弱点であるならば、致命的なダメージを負わせることができる。しかし、アメスライバに限っていえば、ボディのどの部分が蒸発しようとも致命的なダメージにならないという利点がある。それこそが単純構造であるアメスライバの強さの秘密なのだ。


 しかも、アメスライバのボディを半分に減らしたことで身軽になり、移動速度がおよそ2倍にアップ。かつ、高さは低いが飛び跳ねることができるようになってしまった。


 おまけに10秒もの発射タイムラグだ。これはキツい。うまく狙えるかどうかも怪しくなってきた。


(これは完全に誤算だ……、甘く見すぎた……)


 アラトは考えながら、アメスライバに捕獲されないよう逃避するように、回避行動を継続した。


 惑星破壊キャノン砲のビーム照射跡を確認する。


 アメスライバの一部は一瞬で蒸発したが、闘技場の床も熱で溶けクレーターのようにえぐれている。2時間充填の威力を理解した。


 この先、キャノン砲をむやみやたらに発射して、闘技場の破壊を繰り返すと回避行動が困難になる。それは愚策だ。


 そして愚かなことに、惑星破壊キャノン砲を一度発射したあと、どのくらいの間隔を置いてエネルギー充填が可能になるのか、そのインターバルを聞いていない。


 というより、先ほどの照射でヘルメット内部が焼けるほど熱かったので、冷却時間を設けないと、頭がシチューのように煮えたぎってしまいそうなのだ。


 アラトは5メートル程の高さのジャンプを繰り返して回避行動をとっているので、一応、空冷式に冷やそうと考えた。砲身が冷えれば問題ないだろう。


 ちなみに惑星破壊キャノン砲という名称は、100回連続で使用してもエネルギーが尽きないという意味で名付けられている。


 要するに、惑星を破壊するまで使用可能だとギリコは主張しているのだ。それはそれで心強い。


 それから2時間ばかり経過し、キャノンの砲身が冷えたのを確認した。


「充填2時間、冷却2時間といったところか……」


 アラトはそこから2時間、もう一度エネルギー充填を決意した。


(あー、眠い。昨日もっと早く寝れば良かった……。それと、なんやかんやで4時間休憩無しかぁ~、ちょっと疲れた……)


 実際のところ、パワードジャケットのアシストがあるので、そこまで疲れていないが、精神的疲れは蓄積する。動作が単調すぎるからだ。


 アラトはぶっ続け8時間テニスの練習をしたこともあるし、中学の頃から肉体を鍛えているので、今のところ肉体疲労は少なく、余裕は十分あった。問題はこれからだ。



【作者より御礼】

 数ある作品群から選んでいただき、かつ、継続して読んでいただいていることに、心から感謝申し上げます。


【ポイント評価の心からお願い】

 継続して読む価値がある作品だと感じていただいてる読者様、どうかお願いです。面白い作品になるようにと、一生懸命頑張ってきました。作者へのご褒美と思って、ポイント評価をお願い申し上げます。

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