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傷痕の令嬢は微笑まない  作者: 山井もこ
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第005話 学園での出会い

毎日19時に投稿を頑張ります(2日目)


新連載の作品も読んで頂けると嬉しいです

【白い結婚と言ったのは王子のあなたですよ?】


「はぁ憂鬱……また学園での社交会」

ヴィエナは苦い思い出ある学園へ向かった。


そして学園の門をくぐると、すぐに周囲の視線が集まるのを感じた。

生徒たちは、彼女を興味深そうに、あるいは冷ややかに見つめていた。


「見てヴィエナが来たわよ………」


「最近やたらと話題になっているけれど、サイーレ病の感染を止めたそうよ。」

「辺境伯の縁談を蹴ったそうよ」

「何それお高くとまりすぎでしょ」


「傷モノのくせに、社交界で成功できるとでも思っているのかしら」


ひそひそと交わされる陰口は、はっきりと聞こえていた。ヴィエナは足を止めずに歩を進めながらも、表情を変えなかった。

しかし、背後で聞こえた次の言葉には、思わず立ち止まってしまった。


「ヴィエナ良かったわね。たまたまサイーレ病がエムリット領で少なかったから、うまく対策が当たって」


「私の領では、サイーレ病が多すぎて無理よ」


それを聞いた瞬間、ヴィエナは作った笑みを浮かべ、くるりと振り返った。

冷ややかな笑みを浮かべたまま、陰口を叩いていた令嬢たちに視線を向ける。


「まあ、お気の毒に。皆さんは領地の管理すらまともにできず、サイーレ病で苦労なさっているのですか? 私の成果が妬ましくて仕方がないのですわね」


「それに、サイーレ病は衛生管理が悪いと感染する病よ。自分の領を汚い場所と言っているようなものですわ」


陰口を言っていた令嬢たちは、一瞬言葉を失った。


「い、言ってくれるわね……!」


「事実を申し上げただけですわ。」


ヴィエナの皮肉混じりの言葉に、令嬢たちは顔を真っ赤にしながら黙り込んだ。


「おや、ヴィエナ嬢はさすが鋭い言葉を使われる」


不意に、どこか愉快そうな声が響いた。

ふと周囲がざわめき、ヴィエナが振り向くと、長身の青年がこちらに歩み寄ってきていた。

淡い金髪に深い青の瞳、端正な顔立ちと洗練された身のこなし——誰もが目を奪われる美男子だった。


「……あなたは?」


「失礼、名乗るのが遅れましたね。私はエドガー・フォン・ウェルナー。

ウェルナー公爵家の嫡男であり、現在は医学を学んでいる身です」


「医学を?」


ヴィエナは彼の言葉に少し驚いた。貴族の中でも医学を学ぶ者は少ない。ましてや、名門ウェルナー公爵家の嫡男ともなれば、普通は剣術や政治を学ぶはずだった。


「ええ。貴族であれ、病に倒れれば同じ。それに僕は剣術が苦手で、別の方向からウェルナー領を守りたいと思ってます。」


エドガーは穏やかに微笑んだ。ヴィエナは彼の瞳を見つめながら、妙な感覚を覚えた。


これまで貴族社会の男たちは、彼女を「美しくない傷モノ」として敬遠するか、あるいは陰口を叩く者ばかりだった。

しかし、エドガーの視線には、そういった色がまるでなかった。


「ヴィエナ嬢の知識には、興味があります。よろしければ、今度じっくりお話しさせていただけませんか?」


「私も新しく知れることがあるならお願いします」

医学を学ぶ上で読書のみだった、ヴィエナにとって医学者から教わる機会は貴重。


ヴィエナの心には僅かな興味が湧いていたが、それを表に出さず、いつも通り冷静に対応をした。


「エドガーがあの女と2人でお茶?」

学園のヴィエナを蔑む貴族が言った。

彼は美青年で周囲から憧れの目で見られていた。


こうして、彼女は学園での再出発を果たすと同時に、新たな出会いを迎えることになったのだった。

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