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傷痕の令嬢は微笑まない  作者: 山井もこ
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第015話 作戦会議

毎日19時迄に投稿を頑張ります(15日目)

評価励みになります。。。 


新連載の作品も読んで頂けると嬉しいです

【白い結婚と言ったのは王子のあなたですよ?】


エムリット領の会議室にて、ヴィエナ・伯爵ガイゼル・エリザ・護衛隊長ロットの4人が集まっていた。

重々しい空気が漂う中、ヴィエナが口を開いた。


「週末、私たちは海賊と交渉します。目的は、彼らを敵ではなく協力者として迎え入れること。そのために、海賊たちの状況を理解し、適切な提案をしなければなりません。」


ロットが腕を組み、険しい表情で応じる。


「しかし、お嬢様。相手は所詮、略奪を生業とする連中です。交渉の場でお嬢様を襲う可能性もあります。護衛の準備と、もしもの場合の戦闘準備も必要ではないでしょうか。」


ヴィエナは毅然とした態度で答える。


「その気持ちは分かります、ロット。でも、戦いを避けるのが最優先です。彼らが海賊を続けるのは、生きるための選択肢がないから。ならば、安定した仕事を提供すれば、争う理由をなくせるはずです。」


ロットは眉をひそめ、静かに反論する。


「お嬢様、それは甘い考えかと存じます。生きるためなら手段を選ばないのが奴らの流儀です。金だけで解決するなら、とうの昔に誰かがやっているはずです。」


ヴィエナは一瞬言葉に詰まるが、すぐに気を取り直す。


「だからこそ、慎重に計画を立てるのです。」

その時、ガイゼルが手を上げて場を落ち着かせる。


「まあ、落ち着け。時間が少ない。具体的な交渉内容を整理しよう。」


ヴィエナは机上の地図を指し示しながら説明を始める。


「ヤニウス伯から、将来借りるこの一部の沿岸地域での収穫物をエムリット家が買い取ると伝えましょう」「そして、真珠養殖場も設営し海賊たちを雇い、安定した生計手段を与えます。」


ガイゼルが顎に手を当て、考え込む。

「だが、彼らが素直に受け入れてくれるとは限らんぞ。」


ヴィエナは真剣な表情で応じる。

「確かに簡単ではないでしょう。」

「でも、彼らも常に命の危険にさらされる生活に疲れているはず。安定した生活を手に入れる機会を与えれば、乗ってくる可能性は十分にあります。」


エリザが静かに口を開く。


「お嬢様の言う通りです。海賊たちも家族を持つ者が多いと聞きます。安定した収入が得られれば、危険な生活から足を洗うことを望む者もいるでしょう。」


ロットは腕を組んだまま、深く息を吐く。


「しかし、彼らが本当に信頼できるかどうか…。一度裏切られれば、領地全体が危険にさらされます。護衛をしっかりと固め、万一に備えるべきです。」


「護衛の人数を増やしてもいいわ。」

 ヴィエナはロットの提案を受け入れつつ、冷静に言葉を続ける。

「でも、あくまで交渉が最優先。そのことは忘れないで。」


ロットはなおも渋い顔をしていたが、しばらく沈黙した後、小さく頷いた。


「分かりました。ただし、万が一の時は私が全力でお嬢様を守ります。」



ガイゼルが頷きながら言葉を継ぐ。

「ロットの懸念ももっともだ。ヴィエナ、お前の覚悟は固いのか?」


ヴィエナは父の目を真っ直ぐに見つめ、力強く答える。

「はい、父上。交渉が成功すれば、エムリット領にとっても大きな利益となります。絶対にこの機会をものにしてみせます!」


ガイゼルは微笑み、娘の肩に手を置く。

「よろしい。では、全員で最善の準備を進めよう。」


エムリット領の未来を賭けた交渉に向け、それぞれの決意を胸に、準備を進めていくのだった。


ガイゼルはヤニウス伯への情報共有、ヴィエナは交渉内容の仕上げ、エリザは当日の行程表の作成、ロットは護衛隊の選抜と戦闘準備を担当することとなった。


週末の交渉に向け、エムリット領の運命を左右する準備が決まった。


―――そして海賊との交渉日当日を迎えるのだった。

「よし、全員準備はいいか?出発するぞ!」

ガイゼルが護衛隊も含め総勢15名を鼓舞し、ヤニウス領へ出発した。

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