第014話 ラディアタ?
毎日19時に投稿を頑張ります(14日目)
口内炎と花粉辛い、、、
「ヤニウス伯領に戻りましょう!」
ヴィエナは、目を輝かせながら、はっきりとそう宣言した。
ヤニウス伯領を救う鍵になるかもしれない
――そう確信したのだ。
ガイゼルは驚きと戸惑いの表情を浮かべながら、「なぜだ?」と問いかけた。
「ヤニウス領を救うアイデアを思いついたんです」
「そして…もしかしたらエムリット領も拡大するチャンスになります!」
ヴィエナの瞳には確固たる決意が宿っていた。
彼女は手に持った貝殻を掲げ、続けた。
「私は以前、書物でこの貝が研究されてるのを拝読したんです。」
「この貝がですか?」エリザが興味深そうに覗き込むと、ヴィエナはうなずいた。
「ええ。この貝はラディアタといって、中に真珠を持っていることがあるんです。」
彼女は書物を読み漁り、さまざまな知識を蓄えてきた。その中で、この貝がラディアタであり、真珠を生み出すと記憶していた。
「真珠?」ロットが驚いたように呟く。
「そうよ。皆さんもご存知でしょう?真珠は非常に高価な宝石として貴族の間で取引されています。」
ヴィエナは貝殻を指でなぞりながら、さらに説明を続けた。
「ラディアタの養殖に成功すれば、巨万の富を生み出せます」
彼女の頭の中には、真珠養殖がもたらす経済的効果と、それによる地域の繁栄が描かれていた。
「なるほど……」ガイゼルが顎に手を当てて考え込む。「それで、海賊行為はどうするつもりだ?」
「海賊たちが、違法な手段で生計を立てざるを得ないのは、まともな仕事がないからです」
「でも、もし彼らに新たな職を与えられれば、争う必要がなくなると思いませんか?」
ヴィエナは、海賊たちの背景にある社会問題に目を向け、彼らを敵視するのではなく、共に地域を支え仲間として迎え入れる、共存の道を模索していた。
「お前……まさか……」ガイゼルは娘の大胆な発想に驚きを隠せなかった。
ヴィエナは力強く頷いた。「いい計画を思いついたんです。これをヤニウス伯のリカルド殿に相談しましょう!」
ガイゼルは少し戸惑いながら、「おいおい、本当にそんな簡単にうまくいくのか?」と苦笑した。
「やってみる価値はあります!」
ヴィエナの瞳には自信が宿っていた。
彼女の決意に押されるように、ガイゼルとロットも頷いた。
こうして、一行は再びヤニウス伯の館へと戻ることになった。
ヴィエナの心は高鳴り、彼女の脳裏には新たな計画が次々と浮かんでいた。
――――――ヤニウス伯領・リカルド伯の館
「失礼いたします。先ほどの件で、追加でお伝えしたいことがございます。」
館に到着すると、ヴィエナは扉の前で声をかけた。
「おや、何かご用でしょうか?」
リカルド伯が不思議そうな顔で迎え入れた。
ヴィエナは真剣な表情で彼を見つめ、口を開いた。
「リカルド殿。私が沿岸地域の海賊をいなくさせます。」
「なんと……!」驚きの声を漏らすリカルド伯。
ガイゼルも少し目を見開いた。
「そんなことが、本当に可能なのか?」
「はい。ただし、一つお願いがあります。」ヴィエナは静かに言葉を続けた。
「何でしょう?」リカルド伯が不思議そうに言葉をかける。
「もし、海賊の被害をゼロにすることができれば、沿岸地域の一部分を今後お貸ししてもらえないでしょうか?」
リカルド伯は少し考え込んだが、すぐに頷いた。
「一部で良いのであれば、喜んでお貸ししましょう。そんなことで本当に海賊がいなくなるのであれば……。」
「では、海賊への接触と交渉はエムリット家が担当します。」とヴィエナが宣言すると、父ガイゼルも驚きつつも期待を込めて頷いた。
「また、無茶を……」
ヴィエナの気質をよく知る彼は、もはや引き止めても無駄だと悟った。ならばこそ、彼女の決意に己も身を委ねる覚悟を決めたのだった。
リカルド伯は期待と不安の入り混じった表情を浮かべた。
「週末の早朝には必ず海賊が現れます。」
「何とか…何とか…お願いします」
ヴィエナは静かに拳を握った。
「ええ。今度の週末が勝負ね。」
彼女の表情は、まるで戦場に赴く騎士のような、決意に満ちたものであった。
こうして、ヴィエナの大胆な計画が動き出したのだった。




