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水槽  作者: Naomi
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4.奇妙なる

 綾子が「ひとりかくれんぼ」の統一性の無さに疑問を感じるまで、大した時間はかからなかった。なにしろ彼女は筋金入りのオカルト好きである。

 パソコンの画面に疲れて落ちてきた瞼を意識して開くと一気に視界がぶれ、思わず眉をしかめた。


 ―「ひとりかくれんぼ」…?何てサムそうな遊びなんだろう。


 スレッドは「勇者」の、ひとりかくれんぼの動画や静止画等による実況と、その他の者の煽りや解析等で埋められていた。


 ―丑の刻参りみたい。でも、米とかお風呂に沈めることが何を意味しているのかよく解んないなぁー…。


 しばらく考え込んだ綾子は、少し前にどこかで読んだ、生き人形の話を思い出した。フランス人形に水と氷と血液を入れたものが、災いをもたらすというのだ(「生き人形」については諸説あり、日本人形を用いる例もあるのでこの限りではない)。生き物を模したものの中に何かを詰めるという点ではよく似通っている。


−少なくとも、ぬいぐるみを何らかの容れものにして霊を降ろしていることは確かみたい。でも・・・


何かが確実におかしかった。綾子は並々ならぬ「気持ち悪さ」を感じていた。


 −ひとりかくれんぼが創られたのは恐らく最近のこと。細かくルールが決められていて手軽に行えるものであれば、喜んでやってみる人間が間違いなく現れる。数字を用いた細則は「勇者」に安心感を与えるんだろうけど。



 しかし、安心してプレイするにはあまりにも危険で、尚且つ危険性を取り除くための規則がこの「ゲーム」には存在しない。使用したものが焼却されるように処分することが「推奨」されているものの、ルールには含まれていないのである。「かくれんぼ」の規則が事細かに決められていただけに、そのことがひどく奇妙に感じられた。



 −綿の代わりに米を詰めたモノは、容れものだろうなぁ。生き物を模したものに何かが宿るなんて、よく見られるケースだし。巻き付ける赤い糸は血管か何か?水は・・・水は。


 −祭壇・・・?



 −何でも良いけど、こんなの考えつく程の知識の持ち主だった「ひとりかくれんぼ」の作り手が、こんなに後始末に関してずさんだなんて、やっぱり変だよ。




 気がつくと、空が白み始めていた。どうやら今日は、徹夜してしまったようだった。

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