第2話 入学式と初日任務
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本作品はフィクションです。
また、作者が用語の誤解釈、間違った表現・使用などを引き起こす可能性もございますが、作者の創作物ということで、何卒ご容赦いただきたく存じます。
三つ巴の痴話喧嘩から遡ること3時間前。
対魔族高等専門研究機関、略して魔高専。
僕とマヤはその校舎の中にいた。
幼なじみのマヤの勧めで、僕もこの学校への入学を決めた。僕は、子供のころ、マリーさんという女性の方から剣の教えを受けていた。三年間ほどの期間の修行ではあったけれど、マリー先生の人柄もあり、とても充実した日々だった。しかし事情があり、先生は僕を残して行ってしまわれた。そのあとは独学で研鑽を積み、今日に至るわけだが、マヤより、先生と同じ流派の人物が学校関係者にいるとの情報を得られたことが、ここの入学を決めた一番大きなポイントだった。僕は首からぶら下げたネックレスに付いている剣の形のチャームをしげしげと見つめていた。これはマリー先生に譲って頂いた、一番大切な彼女との縁だ。その人物も、剣のチャームがついたネックレスをしていたらしい。
体育館らしき建物が入学式の会場らしく、100人位の人々が着席していた。人間と魔族の戦争は何年も続いており、この列島には、人間と、人間に友好的な種族だけが生活しており、周囲は魔族の属国ばかりという、苦しい情勢下である。そんな中で、魔族に対抗する人材を育成する機関であるこの学校の入学式には、それなりにはバラエティに富んだ面子が揃っているらしく、皆、成り上がるため虎視眈々といった様相であった。男子と女子は席を離されたため、僕から離れてしまったマヤは、キョロキョロソワソワした面持ちで、校長の挨拶に耳を傾けていた。
先生たちの挨拶が一通り終わると、1年の学年主任の先生が前に出てきた。
「それでは、入学式の最後のプログラム、初日任務を行います。任務達成条件は、『学校に戻ってくること』です。それでは、皆さん、また学校でお会いしましょう。」
先生が何人かで、新入生の足下に大きな魔方陣を発生させる。その瞬間、体育館の床が抜け、新入生は奈落の底へ叩き落とされる。賢い何人かの生徒は、魔法でロープ付きフックみたいなのを顕現させて、体育館につながる穴に投げ込むが、先生達が急速に穴を閉じたので、彼らの策略は叶わなかったようだ。
僕達は、荒れた荒野の上に着地した。
他の生徒達は、思い思い好きな者同士でチームを組んだり、イニシアチブを巡って早速揉めたりしている。
僕はマヤを探した。大きな岩の物陰に座っているマヤを発見したが、足を怪我したようで、小っちゃくて可愛らしい女の子に足を治療してもらっている。
マヤ、ヒーラーじゃなかったのかな?
「私、まだ自分に回復掛けれない…」
「アタシ、こういうの得意なんだぁ。」
彼女は、手際良くヒール魔法でマヤを直してくれた。
「ありがとう………」
「どういたしましてだよ!」
彼女はとても明るい。
「アタシ、チィーコっていうんだー。よろしく~!」
「よろしく!」
僕らは友好の握手を交わすと、チィーコさんは続けた。
「友達のネイちゃんを探してるんだけど、いないんだぁ!」
友達とはぐれて不安だろうに、元気で健気なんだな。
僕は感心し、彼女に伝えた。
「友達一緒に探そう。」
「いいの!」
僕とマヤは頷く。チィーちゃんはピョンと跳ねて喜ぶ。
「ただし、チィーちゃん、今は迂闊に動かないほうがいい。その内絶対、先生達が用意した敵が来るよ。」
僕達は辺りを見渡すと、こちらから一番離れている位置の生徒達の周辺に砂煙が立ち始めた。よく見ると生徒が暴れ回っている感じだ。喧嘩か、もしくは戦闘が始まったかもしれない。しばらく経つと、バシッと大きな音とともに大きな砂煙が上がって、ゴブリンらしき魔者が何体か上空に吹っ飛ばされていた。
「ゴブリンか。今のところ、そんなに強そうなのはいないな。」
チィーちゃんがそれを見て突然さけぶ。
「あれ、ネイちゃんの技だ!」
チィーちゃんはその砂煙目掛けて、一目散に駆けていった。
「あっ、チィーちゃーん!」
僕らもチィーちゃんを慌てて追いかけようとしたとき、後ろから、怪しい存在がいることに気付いた。
「ふーん、楽しそうなこと、してんねぇ?」
「お前、ヤエか?! 何しに来たんだ?!」
「何でって、ショウを捕まえに来たんじゃん!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
以上が、今日ヤエに出くわすまでの出来事だ。
僕は、爆発による失神から目を覚ます。
「だいじょーぶー? 爆発凄かったねぇ!」
大爆発を見たチィーちゃんが、慌てて戻ってきてくれたらしい。
「ありがとね。ところで、マヤは?」
「あっち!」
チィーちゃんの指さす方に、大きな岩があり、
何秒か置きに、マヤがチラッチラッと顔をだしては、隠れるを繰り返している。
「チィーちゃん、派手な女見なかった?」
僕はヤエについて聞くと、
「何かが吹っ飛んでいったのは、見たよ?!」
とりあえずヤエの登場の心配は無用のようだ。
「チィーちゃん、ごめんね! 僕達のせいで合流できなくなっちゃって。」
僕は彼女に謝罪する。
「いいよー! だってあの時走って行っても、追いつけなさそうな感じだったし。」
チィーちゃんはフォローしながら続ける。
「ネイちゃん達、森へ入っていったんだよね。アタシもそっちの方行くけど?」
もしかしたら、ネイって人のチームに、位置確認の能力がある人がいて、行動を開始したのかもしれない。
「僕達もついていっていい?」
「いいよぉー! 人数多いほうがたのしぃー!」
チィーちゃんが嬉しそうで何よりだ。
「マヤー! 行こう! 置いてくぞー!」
僕とチィーちゃんは、わざとマヤのほうを向かないで、歩き始めた。するとザザザっと音を立てて、マヤが走って着いてきた。マヤは僕に追いつくと、いきなり背中をグーで、ドンと叩いてきて言った。
「私、絶対諦めません!」
そして、ひたすら僕の背中を叩き続ける。
「いたっ、痛いよ、痛いってば!」
「諦めないったら諦めないんですっ!」
ドンドン叩き続けるマヤ。僕は堪らず走って逃げる。
「ぜったいっ! 諦めませーん!」
マヤは腕をクルクル振り回しながら、一心不乱に追いかけてくる。
「マヤぁ、その話は、今度にしよ!ねぇ!」
「いーやーでーすぅー!」
ネイ達が入っていった森にたどり着くまて、僕とマヤの追いかけっこは続いた。
「まーちーなーさーい!」
「青春してんねぇ!」と、チィーちゃんは呟いた。
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