チェックメイト
今日は新学期2日目。憂鬱な気持ちで電車に乗る。昨日、結実ちゃん達から嫌な雰囲気を感じたことは一旦忘れて他のクラスメートと仲良くなろうと思って何人かにSNSのフォローリクエストを送ってみた。今まで通りなら申請は通ってフォローバックしてもらって軽くDMで話すというのが定番だ。
でも、何かがおかしい。申請は拒否され、それだけではなくブロックもされていた。これは結実ちゃん達の差し金なのだろうか。随分と動きの早いことだ。結実ちゃん、璃莉ちゃん、真凜ちゃんの3人それぞれのネットワークを使えばクラスの女子全員に私をハブれと言うことは容易いのだろう。当然皆も新学期早々にこの中心グループに嫌われるのは避けたいと思っているはず。そして彼女達の指示に従っているわけだ。まあ、それについて責めるつもりは無い。きっと私がクラスメート達の立場だったら同じ様に動いていたと思う。私も結実ちゃん達3人に新学期から嫌われたいとは思わないしこれはしょうがないだろう。誰か次のターゲットが見つかるまで我慢すればきっと終わるはず。
気付いたらもう降りる駅に着いていた。改札を抜けると何人かのクラスメートに会ったが女子は皆腫れ物を触るような顔で私のことを見てくる。でも男子たちは普通だったからきっと女子だけに私をハブれと言ったのだろう。言われていても私の顔と名前が一致していないとかそれだけなのかもしれないけど。
学校に着き、昇降口を抜けて教室に入り、自分の机を見ると一輪の花が置かれていた。しかも季節外れの彼岸花。逆に春にどうやって彼岸花を手に入れたのかを聞きたい。幸いにして彼岸花は私の好きな花の一つだ。
せいぜい気にしていない振りをして結実ちゃん達のやる気を削ごう。と、ここで登場結実ちゃん。勿論璃莉ちゃんと真凜ちゃんも一緒だ。蔑むような嫌な笑みでこちらを見ている。でもたった今来たばかりに見えるし少し驚いているようでもある。まあ誰かに
「不破の席に葬式みたいな花置いとけ。」
とでも言ったらまさかの彼岸花が置かれていて、私の絶望したような顔も見れなかったしでそんな顔になったのだろう。そして結実ちゃん達が私に近づいてきた。
「不破、御愁傷様でしたー!」
と嬉しそうで、人を小馬鹿にしたような笑い方で話しかけてくる。
私はいつも通りの声と話し方で返す。
「おはよう、結実ちゃん、璃莉ちゃん、真凜ちゃん。〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」