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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
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改修された館の探検



 その日は、館のあちこちを見て回った。

マーシアが私の部屋以外も一部、内装が変わったと教えてくれたからだ。

例えば、食堂。

以前は金色の装飾だらけで重厚だけど少し陰気な雰囲気が漂っていたけれど、明るい白をベースに黄色やオレンジの装飾が美しい、爽やかな雰囲気に変わっていた。


「この屋敷、とても古い様式のような気がするけれど?」


執事のフィデリウスに聞いてみたところ、初代スナイドレー公爵が建てた建物だそうで、内装は代々の公爵が変えているけれど、間取りは全く変わっていないそうだ。

スナイドレー公爵が歴史に登場するのは、2000年くらい前。

ドラコ12世王の弟が初代公爵とされる。その初代が建てた館だという。


「そんなに古く見えませんが…。」

「それはそうです。代々の公爵が住みやすいように手を入れていますからね。でも、基本的な間取りなどは初代のままです。詳細はわたくしもわかりませんが、間取りを変えるような工事はされていないようです。言い伝えなので本当かわかりませんが、壁を壊そうとしても壊せないから、と聞きました。」


首都ランズにある館は比較的新しく、フィロスの曽祖父が建てたらしい。


館を一通りゆっくり見て回ったところで、ひとつの疑問にぶつかった。


「主寝室は、どこ?」


建築にも興味があったので、建築魔術も受講している。

そこでは建築の歴史も学んだけれど、貴族の館は夫婦の寝室を真ん中に挟んで、当主と当主夫人の部屋がつながっている、通称、主寝室という、当主夫妻の部屋がある。

寝室には、当主側と夫人側の両方から出入りできるようになっている部屋だ。


フィデリウスに聞いてみたところ、フィロスの部屋が主寝室だという。

自由に出入りして良い、と許可をもらっていたので、フィロスの部屋に入ってみる。

廊下から入るとすぐ、フィロスの書斎。何度も来ているからそこは見慣れている。

書斎にはドアが2つある。

1つ目は調合部屋につながっている。

2つ目が寝室。

寝室にはドアが1つあって、クローゼットルームと浴室につながっている。

でも。当主夫人の部屋につながるドアは無い。


フィデリウスに聞いてみたところ、彼は困ったように首をかしげる。

「そう言われれば、そうですね。ランズの館は確かに主寝室は夫人の部屋とつながっています。でも、この屋敷はそれがありませんね?」

「もしかして、改修で塞いじゃったのかしら?」

「どうなんでしょう?…お気になるなら、この館の改修の記録が図書室に残っていますよ。ご覧になりますか?」


喜んで見せてもらうことにする。


図書室で館の改修の記録を見たけれど、作られた当時の図面はさすがに残っておらず、でも記録上は少なくとも700年くらい前から、間取りは今と変わっていなかった。


「歴史で学んだ内容と違うなあ…。」


最近は、あえて夫婦の部屋をつなげない建築が増えているけれど、昔はつなげるのが当たり前だったと学んでいる。


「フィロスが帰ったら、聞いてみよう。」



ソフィアは孤独な子供時代を過ごしているので、少し男女の機微に疎いです。夫婦生活が気になって、調べようとしているのではありません。純粋な学問上の疑問です。念のため。

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