表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
87/172

暴動発生



 前期授業が半分近く過ぎた頃、ドメスレー公爵の領土で領民の暴動が起きたというニュースが入ってきた。


クラスメートのアンドリュー・ドメスレーが真っ青な顔をして、怒り狂っていた。

「平民どもが!我ら貴族に盾突くなぞ、許せん!」


校内もドメスレーを筆頭に平民たちを罵る生徒と、平民を擁護する生徒、平民を擁護しつつも暴力はいかんという生徒の3つに分かれてあちこちで対立する姿が見られるようになった。


どんな理由があれ、暴動は暴動のため、国王の命令で魔術師団が20人ほど出撃することになった。

その制圧部隊の隊長には魔術師団副団長のグレー教授が出るという発表が、学院長から全員に通達された。

グレー教授が制圧のために学院を留守にしている間の戦闘魔術の代理講師がスナイドレー教授ということも、併せて。


それを聞いたリチャードが激高した。

「ふざけんな!机にしがみついているような奴に、教えられるのかよ!」


リチャードは私に冷たいスナイドレー教授を嫌っている。

「身の程を思い知らせてやる!」

リチャードの周りにも生徒が集まって、なだめたり、あおったり、こちらも大騒ぎだ。


私は学院長の話を聞いた後、急いで自室に戻って先日作った薬のうち、傷薬を20本、それ以外の薬を10本ずつ木箱に入れて、グレー教授の部屋に急ぐ。

グレー教授の執務室をノックすれば、入れ、と大きな声がしたので、入室すると、グレー教授だけでなくスナイドレー教授も居た。


「おう、どうした?すぐ出立なので、時間がとれんのだが?」

と、グレー教授が言う。

スナイドレー教授は不機嫌極まり無い顔をしてにらんでいるけど、無視。


「お急ぎのところ、押しかけて申し訳ありません。薬を用意してありましたので、お持ちいただければ、と。」

木箱を差し出す。

「薬?」

グレー教授が箱を覗き込む。

蓋の色を見れば何に使うのかは一目瞭然だ。

「こんなにたくさん?」

息をのまれる。


すっと横から、スナイドレー教授が薬の小瓶をいくつか取り出し、透かし見る。


「グレー。持って行け。最高品質の薬だ。めったに手に入らん。品質は私が保証する。」

「おう。助かる。スナイドレーのお墨付きなら安心だ。…ありがとう、ダングレー。しかし、なんでこんなに薬が?」

「余計なおしゃべりをしているひまは、ないだろう?」

スナイドレー教授の声がイラついている。

「おう、そうだった。ダングレー。このお礼は帰ってきてから。」

「いえ、ご無事のお帰りをお待ちしています。では、失礼します。」


急いで退室する。

なぜ、フィロスが?あ、授業の引継ぎかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ