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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院3年生
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リディアナの部屋で



 私は、母リディアナのために整えられた部屋で休んだ。

浴室、クローゼットルーム、居間、ベッドルームが一続きになっている。

目にやさしい白壁にピンク色の小花と若葉が散った装飾が美しい。

カーテンやベッドは、淡いピンク色で統一されている。私くらいの年代の少女にふさわしい明るく可愛らしい部屋だった。

どれだけ、スナイドレー教授が母を大事に思っていたか、心が痛くなる。


「母もこの部屋に滞在したことがあるのですか?」

マーシアに聞いてみたら、入ってもくれなかったと答えられた。

「リディアナ様は一度だけ、夏休みにこの邸に来られたことがございます。ですが、フィロス様の隣の部屋は嫌だと駄々をこねられまして。」

「この部屋の隣が教授の部屋、なのですか?」

「そうでございますよ。…あ、でも、ご安心くださいませ。こちらの部屋とフィロス様の部屋はつながっておりませんから。」

「そうなのですね。では、母はどこに泊まったのでしょう?」

「この屋敷は別棟にゲストルームがございます。そちらにお泊りでした。」


マーシアはため息をつく。


「お嬢様、使用人の立場で不躾とは存じますが…。その、フィロス様とのご婚約はお嫌では、ないのですよね?」

「はい。もちろんです。」


マーシアの顔が明るくなる。

「ああ、ありがとうございます!安心いたしました!…すみません。もう、お嬢様はお休みにならなければ!」


寝巻に着替えるまでマーシアにかいがいしく世話をされ、ベッドに横になる。

「お休みなさいませ。何か御用がありましたら、ナイトテーブルの上のベルを鳴らしてくださいませ。」


 1人になって、私は、ほぅっとため息をつく。


 なんだか、夢の中にいるようだ。

無理やり嫁がされそうになった絶望と、殺されるかと思った痛み。

そこに突然あらわれたスナイドレー教授。

気づいたら痛みが無くなっていて、今まで着たことがないきれいなドレスを着せられて、おいしい食事。やさしい使用人。

暖かくて肌触りの良い寝具。


「明日の朝になったら全部消えて夢でした。でなければ、いいな…。」



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