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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院3年生
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身体に良い食事



 マーシアに案内されて、私は、食堂にやってきた。

8人掛けのテーブルがあり、一番奥にスナイドレー教授がすでに座って何か書類を見ていた。


「お嬢様、こちらへどうぞ。」


マーシアの声で、スナイドレー教授が書類から顔を上げる。


「ああ、意識が戻ったか。」


がたんと席を立って、彼は近づいてくるが早く、そっと手を取り甲に唇を当てながら上目遣いしつつ問う。

「…痛みは?」


突然の手の甲へのキスで頭が真っ白になり、思わず、反射的に手をひっこめて胸の前で両手を組んだり広げたりしてしまいながら、答える。


「だ、大丈夫です。痛みは無くなりました。」

「それなら良かった。しかし、自然治癒とは違うので、当面は安静にして過ごしてほしい。」

「はい。」


スナイドレー教授にまた手を取られ、彼の座っていた正面の席に案内される。


椅子に座らされると同時に、白髪をきれいになでつけた男性がスープの入ったお皿を目の前に置いてくれた。


「ありがとうございます。」

微笑んでお礼を言うと、

「お礼は結構ですよ。お嬢様。」

と返ってきた。

そこに、スナイドレー教授の声が重なる。

「彼は、執事のフィデリウスだ。何か欲しいものがあったら、彼に言うように。フィデリウス。ソフィアの命令は、私の命令と同じだと心得よ。」

「承知しました。」


夕食は私のために考えられたとしか思えない、体にやさしいメニューばかりだった。

スープはたくさんの野菜をとろとろになるまで煮込んで、濾されたもの。

前菜の野菜もすべて柔らかく煮てあり、温かい状態で供された。

お肉と魚もナイフを入れれば、ほろりと崩れ、口に入れれば、溶けて無くなる。

どれも胃腸に優しく、栄養がたくさん取れるように、工夫されていた。

しかも、全ての料理にはさまざまな薬草が入っている。

治癒薬を作る材料をたくさん調合してきたから、その時に使った薬草の味を知っている。その知っている、記憶にある、薬草の味が微かに、食べた後で香る。

けれど、料理は決して薬草臭くなく仕上げられ、この屋敷の料理人の腕が非常に高いことを感じさせられた。



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