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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院3年生
42/172

休み明け 2人目のプロポーズ



 7月14日、後期授業が始まる前日に、早朝から学院に戻った。

Aクラス。よし。

成績、2位。1位は、リチャード・モントレー。くやしい。また、負けた。


「相変わらず、早いなあ~。」

隣に、のっそりと、リチャードが立つ。


「あ、おはよう。また、同じクラスね。よろしく。」


 リチャードは、ちらっと成績表を見て、にっと笑ってから私に向き合う。


「ソフィア、俺と付き合わない?」

「は?」

「俺は次期公爵だし、この通り、成績は良いし、戦闘魔術も学年一だ。お前を守る自信もある。」

「はあ?…成績が良いってアピール?」

「違う!…そもそも。俺は勉強が嫌いなんだよ。」

「学年1位取っておいて、嫌味?」

「違う!えっとだな、1位を取ったのは、お前に負けたくなかったからだ。」

「え?」

「お前より優れてないと、守れないだろうが!」


 私は絶句する。


「なあ?俺のとこ、嫁に来てくれない?」


 自分の顔がみるみる赤くなるのを、感じる。


「えっと、えっと、急に言われても…。」

「俺はずっと、初めて会った時から、お前が好きだったんだ。親父にも、すでにプロポーズの許可を得ている。次期公爵夫人としても問題ないってさ。」

「ちょ、ちょっと待って、次期公爵?あなたが?あれ?次男じゃなかった?」

「俺が次期モントレー公爵だよ。兄貴は確かにいるが、兄貴は魔力が無い。だから、魔力を持つ俺が跡継ぎだ。知らなかった?」

「か、考えたこと、なかったし。」

「俺のこと、嫌い?」

「い、いや、どちらかといえば、好きだけど。」

「なら、問題ないだろ?」


 その時、すっと人影が遮った。


「無理強いは良くないな。」

「リュシュー先輩!」

「ライドレー先輩。これは、俺と彼女の問題です。関係ない先輩は、引っ込んでいてください。」

「関係なくは、無いかな?」

「え?」

「僕も、彼女に求婚している。…君より早くね。」


 リチャードの顔が険しくなり、リュシュー先輩と正面から向き合う。


「なんだって?」


 一触即発の険悪な雰囲気に、慌てて二人の間に割って入る。


「ちょっと待ってください。二人とも。私はお二人のどちらともお付き合いするつもりはありません!」


 くるりと2人が、私の正面を向く。

2人とも、恐ろしい笑顔だ。逃げたい。


「おれのことが嫌いか?」

「僕のことが嫌いですか?」

 2人の声が重なる。


「いえ、そういうわけでは。でも、友達とか、先輩とかとしか、今は、思えません!」


「今は、ね。」

 リチャードが、ふっと笑う。

「卒業までに、お前を落とす!」


 あっけにとられた私に、にかっと笑いかけると、

「ライドレー先輩?剣の稽古、つけてもらえませんかあ?」

「いいだろう。」

 2人で肩を並べて、風のように行ってしまった。


「な、なんだったの、今の。え、何?私、2人から、申し込みされてるの?」



プロポーズが、学院の成績表張り出し掲示板の前。ムードもへったくれもありません。


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