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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院3年生
29/172

スナイドレー教授の初授業



 入学式と始業式が終わって、また授業が始まった。

3年生になったので、一般教科はほとんどなくなり、魔術関連の授業が中心になってきた上、戦闘魔術など一部の科目以外の魔術は選択制になった。

最低、3教科を選択すれば良い。

でも、私はどの科目も楽しく受講してきたので、音楽魔術以外は継続して受講することにした。

音楽魔術が一番成績が悪かったことも一つの理由。…私には、音楽の才能は無い。悲しいけれど。


 3年生になって初めて、必須科目に薬学魔術が加わった。

今日はその最初の授業。

まだ成績順に分けられないので、前期はクラスごとに受講するそうだ。

今年のAクラスは、9人。

教室は基本的に50人座れるので、スカスカだ。

全員、前列に座っている。

私はエリザベスの隣にいつも座っているけれど、薬学魔術では、離れて座ろうかとひそかに悩んだ。

なぜなら、エリザベスは一番前のど真ん中の席にさっさと座ってしまったから。

「スナイドレー公爵に興味がありますの。」

という理由で。

いつも隣同士で座っているから、離れて座るのも変。

しかたなく、私も真ん中の席に座る。

大丈夫、授業では生徒みんなに公平のはず、いくらなんでも、いきなり、憎悪の目で見られることはないだろう…。

その期待は、スナイドレー教授が入ってきたその瞬間からあっさり砕かれた。


 スナイドレー教授は徹底的に、私を無視した。

他の生徒に質問を当てて答えさせても、私は絶対に差されない。

授業の後半は実技があって、一番簡単な頭痛を治すポーションを作ることになった。

これは材料を錬金鍋に入れて魔力を注ぎながらかき混ぜるだけの、極めて、簡単なもの。ポーションができあがったら、教授の元にもって行き、採点をしてもらう。

私が持って行ったら、ポーションの入った瓶を受け取る寸前にすっと落とされ、粉々にされた。

「やり直し」

冷たい声。

わざと落とされたように見えて、もやもやしたけれど、もう一度、ポーションを作り直す。

だから、結局、提出が一番最後になった。

ポーションの採点が終わったら退室、と指示が出ていたので、教室内は私一人。

「お願いします。」

今度は落とされないように教授の机に置いたら、スナイドレー教授はあからさまに舌打ちをした。

ちらっとポーションを見て、

「ぎりぎりの、最低点。」

と告げ、教室を出ていこうとする。

「待ってください。どこが悪かったのでしょうか?」

思わず、呼び止めてしまう。

しかし、スナイドレー教授は憎々し気な目で私をにらみつけて、何も言わずに退室してしまった。

引き留めようと廊下に飛び出したけれど、すでに、その姿はない。



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