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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院1年生
23/172

両親の遺産



 翌週の土曜日、エリザベスとジェニファーに付き添ってもらって、銀行の窓口に行った。


 両親が魔術師の場合、彼らの財産がどうなるのか聞いたところ、ジェニファーが指摘したとおり、凍結されていることがわかった。

魔術師が亡くなった場合、魔術師ではない親類には財産があることすら、わからない。

魔術師の親類が申し出た場合、やっとその財産を動かせるのだそうだ。

今回は、役所で両親が死亡したことを証明する書類と、私が両親の子供であることを証明する書類の2つをもらってくれば、私のカードに遺産が移されると説明を受けた。


 このサピエンツィアにも役所がある。

ここにも、2人が一緒についてきてくれて、必要な書類を発行してもらう。

エリザベスが、父の名前の欄を見てつぶやいた。

「アクシアス・プラエフクトウス…。プラエフクトウス?」

「どうしたの?リズ?」

「プラエフクトウス…。どこかで聞いたことがあるような気がしますの。」

「後で思い出したら教えてね、リズ。父のこと、何も知りませんの。」

「ええ、わかりましたわ。」


 銀行に2種類の書類を提出したら、私だけ一人、個室に通される。

そこにやってきた銀行の副頭取という人から、両親の残した金額を教えてもらえた。

父の口座には約2500万ドール。

母の口座には約1000万ドールが、残っていた。

私のカードに3500万ドールが移される。

思った以上の大金に驚きすぎて、顔が真っ赤になっていたと、思う。

そんな私を気遣ってくれたのだろう。

副頭取が、注意をしてくれる。

「大金ですが、おそらく、これからあなたが魔術師になるのなら、足りないくらいの金額と思います。くれぐれも、無駄に使われることが無いように…。」


 確かにその通りだ。

できるだけ、この両親のお金には手を付けないようにしよう。

当初の予定通り、お給料の範囲で頑張ろう。

そうしたら、学院卒業後、この遺産で小さな家が買える。

魔道具のお店を作ってもいいかもしれない。

自活できれば、侯爵家に戻らなくても済む。

戻る気はもともとないけれど。


 エリザベスとジェニファーは、銀行の待合室で待っていてくれた。

「あら。手続き、終わりましたの?ずいぶん早かったですわね?」

「ごめんなさい。せっかくの休日なのに、半日も私の事情で付き合っていただいて。特に、ジェニファー、ありがとう。おかげで、遺産もらえて助かったわ。」

「何言ってるの、ソフィ。友達のために役立てて良かった。」

2人とも、楽しそうに笑ってくれる。


「もうお昼ね。何か食べてから、ウィンドウショッピングして帰りましょ?」


 …幸せだ。

学院に入学してからやさしい友人ができた。

勉強も楽しいし、衣食住も十分。

この幸せがずっと続くといいのに。



3500万ドールあれば、首都ランズでも、小さな家が買えます。首都を離れれば、ちょっとした邸宅も買えるかも。

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