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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
165/172

戦争終結



 学院内に、歓喜の声が響き渡る。

我がランドール国が戦争に勝った!しかも、大勝利だという。


普段、落ち着いているオバレー副学院長が珍しく興奮し、うわずった声で全生徒に知らせてくれた。


「あなた方の後方支援で、我が国は大勝利しました。国王陛下も、魔術師師団長も、各軍の将軍達からも、感謝が届いています。あなた方全員に、わたくしからも感謝と、敬意を。あなた方ほどすばらしい学生は今までいませんでした。」


生徒達みんなで、抱き合い、飛び上がり、喜びを爆発させる。


「さあ、皆さん、戦争が終わったので、サピエンツィアの封鎖も解除されました。

今日は12月16日。ちょうど、建国祭のシーズンの始まり、冬休みの始まりです。

1日遅れましたが、皆さんは明日から冬休みになります。家族の皆さんと楽しい建国祭を過ごしてください。」


拍手が、講堂を覆い尽くす。

誰かが校歌を歌い始め、歌声が広がっていく。

私も隣にいるエリザベスやジェニファー、リチャード、ミレー、ライザ達と、声を合わせて、歌う。


   我らの誇り たぐいなき力

   我らは学ぶ 力の制御

   我らは望む 楽園の創造

   我らは捧ぐ

   力与えし神に 感謝と忠誠を

   ランドール ランドール

   魔力の満ちる国


歌いながら、胸がいっぱいになる。

私達はこの学院の生徒として、この歌の通り、ふるまえたのだと。

私達みんなが研鑽した魔術を使って、楽園、この場合、平和、をつかみ取ったのだと。


 わあっと、皆が抱き合い、握手し。

教授も上級生も下級生も、この時はその垣根はなく、魔術師同士の連帯感を強く感じたのだった。


エリザベスが崩れ落ちて泣いている。緊張の糸が切れたのだろう。ジェニファーと一緒に、私もエリザベスを抱きしめて、労わる。

隣で、リチャードとミレーが握手して、お互いの背中をたたき合っている。

ライザも女生徒と笑い合っていたけれど、私と目が合うと一瞬、何かを言いかけて、プイッと横を向く。ふふ。彼女らしい。


約2ヵ月続いた戦争が、本当に終わったのだ。


左耳のピアスに、そっと、触れる。

ひんやりした、ダイヤモンドの硬い感触。

砕けることなく、戦争は、終わった。

フィロス、もうすぐ、あなたに、会えますね?



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