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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
163/172

フィロスの任務



 フィロスは、反乱軍の指揮を執る貴族とその護衛の魔術師を暗殺することを、ハッカレー学院長から命じられていた。


一番始めに制圧に行った時は、どれほど守りの魔術具の効果があるのか不安だったけれど、その不安は、一瞬で吹き飛んだ。


最初の反乱軍には5人の魔術師がいて、ほぼ同時に魔力で攻撃してきた。

とっさに避けようと、反射的に身体が動いた。

でも、動いたか動かないかのところで、5人が一斉に倒れたのを見たときは、自分でも驚いた。

指揮官の貴族を拘束した後で、倒れた魔術師全員を調べてみれば、間違いなくそれぞれが放った魔力でやられていた。

それも、彼らには放出できそうにない、威力で。


 倍にして返す。

と、ソフィアが言っていたが、どうやら、その通りのようだった。

彼らは一撃必殺で、本気でフィロスを殺すための魔力を放ってきた。

当たり前だ。ここは戦場なのだから。

まともに当たったら、フィロスといえど、死ぬか、それに近い重傷を負う。

そんな威力の魔力が倍で返っていったのだ。

全員、一撃で死亡するのも、当たり前。


フィロスは、ため息をつく。

ソフィアはどれだけの犠牲を払って、この守りの魔術具を作り上げたのだろう。

彼は、知っている。

世に二つとないような魔術具を作るためには、大きな代償が必要なことを。

たった1本の魔毒剣を作るために、10人以上の魔術師の命が必要なように。

ソフィアは、ほぼ死んだ状態で戻ってきた時に何があったのかを、絶対に教えてくれなかった。

どんなに聞いても、覚えていない、の、一点張りで。


この赤いピアスに手を触れれば、じんわりと、温かい力を感じる。

ソフィアの、命だ。と、無条件で感じる。

ソフィアの命が、愛情が、自分を、守ってくれている…。


もう少しだ、もう少しで、戦争は、終わる。

マジェントレー公爵の失脚も、まもなくだろう。

そうしたら、もう、君も安全だ。

学院卒業まで、あと1年。

卒業の翌日、結婚しよう。ソフィア。

そして、君を、私は二度と、離さない。




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