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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
151/172

誘拐2



 リュシュリュウは、ベッドの上に横たえたソフィアを見下ろす。

ここは、ソフィアと初めて出かけた湖の近くにある自分の別荘。

学院の門からここまで転移してきた。あらかじめ、転移の魔術陣を用意しておいて。使い捨ての魔術陣だから、使った後は消滅する。気付かれる恐れは無い。


今、ここには、自分とソフィアの2人しかいない。


ソフィアが行方不明になったとわかるのは明朝だろう。

すでに門限は過ぎている。自室にいると誰もが思っているはずだ。

明朝には、彼女は自分の物になっている。

自分の物にしてしまいさえすれば、ソフィアは諦めて自分の妻にならざるをえない。

この国の貞操観念は、女性に対していびつな形で非常に高い。

配偶者の死別などによる再婚への忌避はないが、婚姻前に傷物になった女性に対する世間の眼は驚くほど厳しい。

ソフィアの母が学院を卒業した後、市井に下りざるを得なかった理由もそこにある。

本来、学院を卒業し、魔術師として認められれば、平民でさえ貴族位をもらえる。

ソフィアの母が貴族の親から勘当されたとしても、別の貴族位をもらえるはずだったのにもらえなかったのは、未婚の母となったからだ。

貴族位を管理している王宮は、ふしだらと烙印が押された女性への貴族位授与を拒否した。

 相手がこの国の貴族だったら、そこまで問題にならなかったかもしれない。

婚約者であれば、婚前交渉であっても目をつぶってもらえる。

この国の貴族だったら、婚約していたと言い張れば言い逃れはできる。

ソフィアの母の場合は相手が悪かった。フォルティス人。フォルティス人に我が国の貴族位を与えることは、絶対に無い。


ソフィアの場合は。

自分が相手だ。問題ない。

4大侯爵の跡取りだ。婚姻の約束ができていたと言えば、すんなり認められる。

妊娠が明らかになる前に婚姻を急ぐよう、言われるだけだ。


 リュシュリュウは、しゅるっと自分の首からスカーフを取り、シャツを脱ぎ捨てる。

鍛えられた上半身が薄暗い部屋でもくっきり見える。。

ベッドに横たわるソフィアの上にのしかかった。


「ソフィア。やっと、君を手に入れることができる。…ごめん。君を起こしたいけれど、起こしたら、君の抵抗に手古摺ると、わかっているからね。卑怯だとわかっているけれど…。眠っている間に、僕のものにするね?」



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