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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
143/172

屋敷への襲撃1



 今日は、フィロスが帰ってくる予定の朝。


朝食を食べたらすぐ庭に出て、散策しながら門の方をしょっちゅうチラチラ見ていて、マーシアに笑われた。


「お部屋で、ゆっくりお待ちくださいませ。フィロス様が見えたら、お教えしますから。」

「ありがとう。でも、落ち着かないのだもの。」

「まあ。ほほほ…。では、ガゼボにお茶の支度をさせましょうか?」

と、その時、かすかな羽ばたきの音が聞こえたような気がした。

「あ…。」


目をこらして、飛んでくるだろう方向を見れば。けし粒ほどの大きさだけれど、確かにこちらに向かってくる姿をみとめる。


「お戻りだわ!」

「おやまあ、あんな小さな姿を、よく見つけられますね?」

書斎にお茶を用意します、と、マーシアが屋敷の中に戻っていく。


こちらに飛んでくるのを目で追いながら、小さな違和感を感じた。

ペガサスの色が、茶色?

フィロスの乗るペガサスは、黒だ。

何かが、キラッと光った。その瞬間、私は、


聖なる守り(ホーリー・バリア)!」

とっさに、全身を覆うバリアを展開する。


 が、そのバリアに届く前に、屋敷のかなり上空で何本もの雷で作られた槍がはじかれて、消滅する。


フィロスと勘違いしての襲撃?


雷槍のあと、立て続けに炎の玉が降ってくるも、同じく、上空でじゅうっと消えた。


「屋敷全体に、結界が張ってある?」


異変を感じたのだろう、屋敷から飛び出そうとした執事のフィデリウスに出てこないように合図する。

何しろ、彼は魔力が生活魔術程度しかない。

戦力外だ。

上空を睨みながら、自分のバリアを解除する。

バリアを解除しないと攻撃できないから。


ぐんぐん近づいてきた襲撃者は3人。

全員、黒いマントを羽織り、顔も黒いスカーフで隠して、目しか見えない。


「殺しちゃ、まずいよね?でも、そもそも、結界の中から外に攻撃できるのかしら?」

やってみなければ、わからない。


「グラディウス!」

右手にレイピアを出現させる。

風の刃ヴェントゥス・ラーミア!」

レイピアを上空に突き上げ、かまいたちを3人に向けて、放った。


「ぐあっ!」


1人に直撃したようで、ペガサスから落下し、近くに落ちてくる。


束縛(バインデイング)。」


とっさに、魔力で作った縄で、ぐるぐる巻きにする。

私より魔力が大きければ束縛がとけるだろうけど、この国でも上位と太鼓判を押されている。大丈夫だろう。


残り2人。


結界は外からの攻撃をはじくけれど、内からは攻撃が通じるようだ。

結界の中に入ってこられたら厄介だな、と、ちらり、と頭によぎる。

将来、この国一番の剣士となるだろうリチャードとの修練のおかげで、自分の戦闘魔術の実力はそこそこあるだろうけれど、実戦の経験はゼロだ。

実戦で役にたつのか、少し怖い。でも、


「スナイドレー公爵家のみんなは、わたくしが、守る!」


結界を超えて2人が急降下してきた。

2人とも長剣を構えている。

1人は緑に光り、もう一人が水色に光っている。風と水、か。


大地の柱(テラ・コルムネ)!」


私の周囲に土の柱が何十本となく盛り上がり、そのうちの何柱かが2人に直撃して2人がペガサスから落ちる。


束縛(バインデイング)。」


体勢を整えられる前に、残りの2人も縄でぐるぐる巻きにした。


「えーと。どうすればいいのかな。この後は。」



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