表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
141/172

5年生の前期授業



 目が覚めた後、フィロスから夏休みまでの休学を懇願されたけれど、学院生活もあと2年無い。

友達と過ごしたい、ここに居たほうが、1人よりリハビリも頑張れる。と押し切った。


 それはあながち、間違いでもなかった。

放課後、オバレー副学院長とのリハビリには、エリザベスかジェニファーがたびたび付き合ってくれて、そのおしゃべりが楽しかったためか、リハビリが捗り、驚くほど早く回復が進んだから。


 学院に戻って3週間後には車椅子を卒業し、夏休みまで残り1カ月半というところで、薬の副作用も完全に消え、戦闘魔術の授業にも参加が許された。

といっても、体力はさすがに落ちていたので、以前のように、リチャードを初めとする、上位成績者と組むのはやはり無理で、真ん中くらいの成績の生徒と初めて組ませられた。

真ん中くらいの実力を持つ生徒からの攻撃だと動かなくても魔力の差であっさり攻撃を跳ね返せる。

今までは、攻撃を早くかわすことを考えてきたけれど、今はじっくり直前まで引き付けて対処するという、今までとは違う戦い方の勉強になって、良かった。と思う。


それ以外、特筆すべき授業は魔法陣の授業だろう。

魔法陣の授業が今年から選択制で始まったけれど、昨年、リチャードに宣言したとおり、私はこの学院で学ぶすべての魔法陣を暗記してしまっていた。

そのため、講義を受け持つオバレー副学院長から特別に、古代の魔術陣を解析するように、他の生徒とは別の課題を与えられた。

古代の魔術陣は、紙の劣化などで文様が一部欠けたり、薄くなっていてよくわからなかったりする。それを、正しい形を考察して正確なものを書き起こす。

その解析はとても大変だったけれど、フローラ様のメモを必死で読み解いた時より、時間制限がないだけ、楽しい。


 例の異世界へ続くフローラ様の魔術陣のメモだが、あの魔術陣が書いてあったページだけ、どこかに消えてしまった。

フィロスも光の柱が立っているときに、解析するために紙に書き写していたそうだけれど、私の治療中にその紙がどこに行ったか、見つからないと聞いた。

覚えている限り、魔術陣を再現しようと、書き起こしてみているけれど、細かいところが、どうしても思い出せない。

よくわからないけれど、フローラ様の魔術陣が不完全だったのは、私と同じように、あそこから戻ってきたら、魔術陣の記憶が欠けたからだと思う。

あの魔術陣は、本気で使いたい人が自分の力で魔術陣を完成させることが、向こうに行く条件の一つなのではないかと思っている。


 フローラ様のメモが残っていたのは、フローラ様は2度、あの世界に行ったからだろう。

そう考えたのは、魔術人形のグレイスの容姿が魔術創成の神とあまりに似ていたから。

たぶん、1度目に行ったときにグレイスを作り、その後で、攻撃を反撃するバリアを作りたくなり、またあちらに行くために魔術陣を作ろうとしたのだろう。

2度目では、おそらく失敗して命を落としてしまったけれど。


夏休み直前の試験は戦闘魔術以外の科目を余裕で終わらせた。

戦闘魔術は今まで、上位トップ3に入っていたけれど、残念ながら、中くらいの成績だろう。総合成績もそれで2位陥落かも。仕方ない。



戦闘魔術の成績が足をひっぱるから2位陥落と思っているソフィ。ありえません。いつも2位以下をダントツに引き離しているのを忘れています。リチャードとソフィアは、すべての科目で、満点近くをたたき出しているので、ぶっちぎりなのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ