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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院5年生
137/172

1カ月遅れの登校



 私は始業式が始まってからおよそ1か月遅れで学院へ戻った。

車椅子で教室に現れた私にエリザベスとリチャードが駆け寄ってくる。


「ソフィア!魔力熱にかかったと聞いたわ。もう、大丈夫なの?」


私は怪我ではなく魔力熱にかかって1か月寝込んでいたことになっている。

魔力熱とは、主に魔力持ちの子供がかかる病気で、魔力の暴走が原因とされている。

幼い子供の場合それで亡くなることもあるようだけれど、大人になると魔力の制御ができるようになるので、魔力熱を出すことはほとんどない。

でも、逆に、大人になって魔力熱を出すということは、魔力の制御ができないほど大量の魔力が暴走したことを意味し、命をあっという間に落とす。


「ありがとう。もう大丈夫なんだけれど、1か月近く、寝込んでいたら立てなくなっちゃって。」

少しは、歩けるんだけどね、とエリザベスに笑いかける。

「ソフィア。」

「リチャード、ごめんね。朝の練習に当分、行けそうにないわ。」

「そんなこと、気にするな。…戻るのに、どれくらいかかるって?」

「3週間くらい、リハビリが必要みたい。」

肩をすくめる。

「熱で、筋肉が全部落ちちゃったみたいなの。」

「ああ、そういうことも、あるみたいだな。」

リチャードが頭を掻く。

「リハビリ、協力するぜ?」

「ありがとう。リチャード。でも、オバレー先生が見てくださるって。」


そうなのだ。

なぜか、オバレー先生が放課後リハビリに付き合うと、自ら言ってこられたのだ。

たぶん、スナイドレー教授を私から引き離したいのだと、思う。


 今朝、私を寮室まで送ってきたフィロスは、ものすごく機嫌が悪かった…。



「16歳にもなって、魔力熱なんて、よほど、不摂生してたんだろうね。」

アンドリュー・ドメスレーは相変わらず、嫌味たっぷりだ。

「ほんとですわ。ガリ勉もいいけど、自己管理できないなんて、最低ですわ。」

ドメスレーにべったりくっついているライザ・サレーまで、ふん。と馬鹿にしたように追従する。


「君たち、いつまで、しゃべってる。とっくに始業の鐘はなったぞ。ああ、ダングレー。回復したようで良かったな。魔力熱にかかる理由はわかっていないので何とも言えないが、頑張りすぎて疲れが溜まっていたんだろう。今学期はあまり根を詰めるなよ?」

担任のベリル先生が笑顔を見せてくれる。

「はい、先生。」



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