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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
119/172

4年生の冬休み



 いつ、開戦するかわからないまま、冬休みに入った。

フィロスには「この冬休みは、ほとんど屋敷に戻れない、1人にしてすまない。」と謝られたけれど、しかたない。

隣国プケバロスとの国境付近には、我が国の軍隊の一部がすでに常駐している。

魔術師団はまだ動いていないけれど、いつでも動ける体制になっていると聞く。



 連日、フローラ様の書斎にこもって、フローラ様のメモを解析していった。

もう少しで終わる。

そうそう、部屋の壁紙はすべて新しいものに変わっていて、グレイスも色のついたドレスを着ているので、室内が華やかだ。


冬休み、屋敷に戻ったら、グレイスのドレスが私の普段使いの居間に届けられていたため、自分でフローラ様の居室に運び込んだ。


「グレイス。」

「お呼びでございまするか。おや、箱がたくさん。」

「これら、全部、グレイスのドレスや、小物、なの。受け取っていただけるかしら?」

「こんなに、たくさん?」

「これでも少ないくらいよ?」

グレイスの顔がくしゃっと、ゆがむ。

「わたくしめに、そのような、お気遣いは…。」

「わたくしがこれからここで過ごすようになったら、グレイスのお世話になるのだもの。当然だと思うわ?」

「ありがとう、存じまする。」


ほわっと微笑んで、グレイスが箱をすべて自分の部屋に持っていき、それから、毎日、違う洋服を着てくれるようになった。

どれも思っていた以上に似合うので、そのうち、新しいドレスをまた作ろうと思っている。




 建国祭の日も、フィロスは戻ってこなかったけれど、私宛にたくさんのプレゼントが届いた。ドレスとそれに合わせたアクセサリー、靴やバッグ。

フィロスがいなければ嬉しさは半減だけれど、戻ってきたら、着た姿を見てもらおう。

マーシアと一緒にクローゼットに仕舞いながら、そんなことを考えた。




 フィデリウス、マーシアには、私から建国祭のプレゼントを用意した。

フィデリウスには、カフス。マーシアには、ブローチ。

私のお給料から出したので、それほど高価なものではないけれど、2人にはとてもお世話になっているので何かお礼がしたかった。

2人ともびっくりして、そして、喜んでくれた。

 グレイスには、花束を。

部屋に縛られ自然に触れることができない彼女のために、両手で抱えきれないほどの花束を届けた。自分の部屋に飾ってほしい、と。

初めて見る花々を、彼女はとても美しい、と喜んでくれた。






 そして、今年も、最後の日を迎える。


「さて…。フローラ様の魔術陣を使う準備ができたわ。」


きゅっと両手を握る。

その手の中には、半年かけてようやく私の魔力で飽和した10カラットの透明なダイヤモンドが、1つ。



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