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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
116/172

薬膳菓子のレシピ3




「さて、作りましょうか。」


 材料は、パーティカラードトルマリンとユニコーンの角。月花のしずく。陽光の粉、風花の花弁に、雪結晶のかけら、など。

どれも一つあれば、かなり上位の薬が作れる材料。

それらを選んだ理由は、それらの材料の持つ、特性。希望と祈り。

これらを使うと、調合する人の祈りの力によって、薬の効果が格段に上がるのだ。

人によって効果が上下するので、品質が安定していないと嫌われる材料でもある。

けれど、相手を思う心が強ければ強いほど、この上ない最高の薬となる。

私の想いは、重いのだ。

最高のものが作れるはず。


「パーティカラードトルマリン。買ったら高いよね…。」

魔力で砕き、虹色の粉になった宝石を見ながら、つぶやく。

例の宝飾室から持ってきたから、お金は払っていない。宝飾室が無かったら手に入れることはできなかっただろう。

宝石は粉にくだいてしまったら、一文の価値も無くなってしまう。もったいない。


つくづく、薬学魔術はお金がかかる。と思う。

ユニコーンの角なんて、最近、よく使うけれど、一番小さいサイズで10万ドールもするのだ。1年生の時の1か月分の給料が吹っ飛ぶ。

今、私の給与は、20万ドールだけれど、最初に買った時は、本当に勇気がいった。


ユニコーンの角以外の材料は、自分で調薬して作るもの。

こつこつ、普段からいろいろ作りだめしているので、一から作る必要が今回は無いのがありがたいけれど、その原材料も、ユニコーンの角ほどではないけれど、高い。数万ドールするものが、ざら。

救いは薬草類であれば、学院の森で採取できること、だろうか。しかも、なぜか、良い品質のものが採取できる。めったに手に入らない珍しい薬草も多い。これは、学生のためにあえて、そういう森を作っているのだと、思う。

卒業したら、学院の森で採取ができなくなるだろうから、買うことを考えると、今から、頭が痛い。


全ての材料を粉にしてから、錬金鍋に私の魔力を溶かし込んだ聖水と一緒にいれ、魔力を流しながら、ぐるぐるかき混ぜる。

時間短縮の魔術ももちろん、必須だ。

時間短縮の魔術をかけても、1時間くらいかき混ぜ続けないといけなくて、腕はだるくなるわ、魔力がぐっと減って少し気分が悪くなるわ、だったけれど、その間、フィロスと過ごした幸せな思い出を何度も噛みしめて、幸せな気分でかき混ぜ終わった。

考えたとおり、虹色のやわらかい、パン生地みたいなものができあがり、ほっとする。


「よし、これに、アーモンドプードルと練乳を混ぜて味をつけて。型を抜いて。オーブンで焼けば?」


オーブンで焼いている間、レシピメモに分量やかき混ぜ時間を書き加えて、それを見直していたら、とんでもないことに気付いた。


「このレシピ、作れる人、ほとんどいないじゃないの!」


パーティカラードトルマリンをはじめとして、材料に超高額なお金と、調合に膨大な魔力が必要だ。


「初めての創造魔術菓子だけど、公開できないわね。これじゃあ。」


ため息をついて、レシピメモを大事なものを入れている箱に放り込んだ。



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