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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
112/172

戦闘魔術の自主練習3



「2つ武器を出したい?…君たち、いきなり、難しいこと言い出したなあ。」


魔力の武器を2つ同時に使いたいと相談されたグレー教授が呆れたように、私達を見る。


「でも、教授。普通の兵士は盾と剣を2つ持ってるよな?俺ら魔術師もそれができたほうが、有利じゃねえ?」

「言葉が崩れてるぞ、モントレー。…まあ、作れるか作れないか、で言えば、作れる。」

「本当か!」

「作れるが、可能とは言ってないぞ?」

「?」

「まず、魔力が高いことが絶対条件だ。モントレーとダングレーはその点、合格、か?…だが、他の生徒は無理だろうな…。」

「俺らが可能なら、教えてくれ、じゃなかった、教えてください。教授。」


グレー教授は渋い顔をして顎を撫でていたが、

「500年平和だったけれど、最近、きな臭くなってきてるだろう?俺は卒業したら、魔術師団を希望しているんだ。いざってときに、備えたいんだ。」

と、モントレーがきっぱり言うと、

「そうか。同僚になってくれるのか。うーん。だったら、強い奴が来てくれる方が助かるな…。」

思案顔していたが、

「よし。教えてやる。ただし、条件が一つ。授業や試験では使うな。他の生徒が不利を被る。」


私達はうなずく。


「わかった。じゃ、こっちに来い。…どうせ、君たち2人は他の生徒と打ち合ったって、練習になりやしないんだから。」


闘技場の隅に移動しようとした私達を見て、アンドリュー・ドメスレーが不機嫌そうに、大きな声を張り上げる。


「グレー教授!その2人だけに、えこひいきされるのは納得できません!」

「ドメスレー?えこひいきをしているつもりはないが。」

「えこひいきだ!2人だけに特別に何か教えるんでしょう?」

「…教わりたかったら、ドメスレーも来れば良い。だけど、ドメスレーには教えても絶対に使えぬぞ?時間の無駄だと思ったから、誘わないだけだ。」

「くっ!使えないと見損なってもらっては困る!ダングレーに使えるなら、私にも使えるっ!!」

「どこから、その自信が出てくるのかね。ダングレーにも勝ったことが無いと思うが。…まあ、いい。他のみんなも教わりたい者がいるなら、来るといい。」


結局、2つの武器を出すための授業は、リチャード、アンドリュー、私、の3人だけが受けることになった。

他の生徒は、「魔力が高いことが絶対条件」と聞いていたので、早々に諦めたようだ。


「2つの武器の出し方だが、1つ武器を出したあとで、もう1つ武器を出せばよい。」

「は?」


グレー教授が、私達から少し離れる。


「グラディウス!」


長剣が右手に握られている。そこで、グレー教授は目をつぶり意識の集中に入る。が、あまり時間をおかず、かっと目を見開き、


「スクゥトゥム!」


その瞬間、左手に盾が出現した。


「魔力の流れを見る訓練を1年生の時にしたな?その魔力の流れを2つに分けるんだ。分ける場所は、身体の中央ならどこでもいい。右手に武器を出したら、その武器を保持する魔力の流れを残しつつ、左手に武器を出すための魔力の流れを作る。最初はそれをやると、左手に魔力の流れが行ってしまって、右手の武器が消えてしまう。それを、いかに消さずに魔力の流れを保持するか、だな、それが難しい。

両方で何度も武器を出していけば、魔力の流れも自然と2つに分かれて、一種、固定されるから楽になってくる。

あとは、当然、保持する魔力はけっこう大きいから、魔力が少ない奴は最初から不可能だ。…ドメスレー。君はおそらく、2つの武器を保持するだけの魔力は、無い。」

ドメスレーが、ぐっと詰まる。

「やってみなければ、わからないじゃないか!」

「もちろん、やってみたまえ。」



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