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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
111/172

戦闘魔術の自主練習2



「勝手に動く、護衛対象…。」

ちょっと考え込む。

箱でもいいけれど、守りにくいし攻撃しにくい。

ふと、部屋の棚に目を向けたとき、エリザベスにもらったユニコーンのぬいぐるみが目に入った。


「あ!」



「おい、それ、なんだよ!」

リチャードが闘技場に来て、あんぐりと口を開ける。

「熊さんのぬいぐるみよ?」

「いや、ぬいぐるみにしちゃ、でかすぎるだろ!」


そう、闘技場には2メートル近い高さのまっくろい熊のぬいぐるみがでーんと置かれている。

昨日、学院内の購買店で小さな熊のぬいぐるみを買ってきて、魔術で巨大化させたのだ。


「大きいと、攻撃がしやすいでしょ?それに、魔物だと思えない?」

「でかい的は確かに攻撃しやすいけどさ、守るのが大変…、あ、そういうことか。」

「そう。」

「わかったよ。俺はその熊を魔物だと思って攻撃する。で、君はそれを守り切る。それでいいな?」

「ええ。お願い。…じゃ、この熊、オートモードにするね?」

「おし!」


熊のぬいぐるみの背中に埋め込まれた魔石に魔力を注ぐ。

これで30分くらいは勝手に動くはずだ。

魔力を注がれたぬいぐるみは走ったり、ジャンプしたり、しゃがんだり、でんぐり返しをしたりと、勝手な動きをし始める。

しかも、私の強い魔力を注いだからか、超早い!

それを見たリチャードは、


「おい。相当、むちゃくちゃな動きだぞ?守れるかあ?」

「そちらこそ!攻撃しづらいでしょ。」

「確かに。…よっしゃあ。手加減なしだ。行くぞ!」


私はぬいぐるみに張り付いて動きを予測しながら、リチャードの攻撃を凌いでいく。

直接攻撃を受けるのではなく、受け流す、のだ。

衝撃波はレイピアで横になぎはらうか、ぬいぐるみをだきあげて転がって避ける。

直接撃ち込まれたらレイピアで受けとめるけど、攻撃せず、隙を見て、逃げる。

自分一人ならどうにかなる攻撃も、ぬいぐるみが勝手に動くから、それに付いていくのだって、大変だ。気を取られると、あっという間に、攻撃を受けてしまう。

威力が1割に抑えられる闘技場だから、青あざ、打ち身で済んでいるけど、実戦だったらとっくに何度も死んでいる。


「けっこう、この練習、俺にも益があるな!」


疲労困憊して動けず座り込んだ私のそばに、リチャードが来て隣にどさっと座わる。彼の息も少し、あがっている。


「全然、守れない…。」


そう、ぬいぐるみは、私以上に攻撃がたくさん当たっているのだ。

復元の魔術をかけてあるので、ぬいぐるみは首を飛ばされようが腕をもがれようがすぐ元に戻るけれど、首を飛ばされるのは見ていてショックが大きい。


「いきなりは、上達しないさ。」

リチャードが私の頭をぽんぽん、叩く。

「そうだけど、くやしい…。」


ふと、思いついて聞いてみる。

「ねえ?レイピアと同時に盾を出せないかな?ほら、スナイドレー教授がやったみたいに。」

「ん?」

「盾だけだったら出せるけど、それだと今より勝率が下がるの。だから、レイピアと一緒に盾が持てたら…。」

「一度に2つ、武器を出せる方法は教わっていねえよな?」

「うん…。」

「一度に2つ、武器を持てるなら、俺も有利だな。」

「あれ?リチャードも、盾が欲しいの?」

「いや、両手に持てるなら、両手に長剣を持つ。俺、両手とも使えるからさ。1つしか持てないから、大剣使っているんだけれど。」

「あれ?双剣、は出せるよね?」

「双剣だと、武器がやわなんだよ。長剣に比べると。」

「そうなんだ…。」

「今日は戦闘魔術の授業、あったよな?グレー教授に聞いてみっか。」

「ええ。そうしましょう。」



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