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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院1年生
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新しい友達



 入学式まで、あと3日。

暇だったので、自分が住んでいるステラ塔をはじめ他の塔を巡り歩いていた。

初めは校舎の探検をするつもりだったけれど、いくつもの階段と分岐だらけの廊下に、迷子?遭難?確定だと恐れをなし、早々に退散した。

その点、塔はシンプルで階段は1か所だし各階1フロアしかない。


 どの棟も1階から3階までは各階、部屋が50部屋もあった!

フロアの廊下は円形。

扉に室番のプレートが順番通りに貼ってあったのでわかった。

でも、外から見た塔の大きさでは絶対に50部屋収まりっこない。

室内も広いし。

きっと何らかの魔術がかかっているんだろう。


 ちなみに、4階以上は教授たちの部屋と聞いたけれど、4階に上がれる階段は見つけられなかった。

学院長と副学院長が居るというソル塔と、ルーナ塔に至っては入り口自体、どこにも見当たらず、入ることさえできなかった。


「いろいろわからないことだらけだけど、知りたいことがたくさん増えて良かったのかも。魔術学院、おもしろいところ。入学できて良かった。」


 塔の中を探索しているうちに、同じ新入生の何人かと話をすることもできた。

仲良くなれそう、と思ったのは2人。


 一人は、テラ塔で出会った自分と同じで読書が大好きだと言っていた、ジェニファー・クリス。

ランドール国の首都ランズでも有名な商会の娘だそうだ。

私が街ですでに買い物をしたことを知って、

「街へもう行けたの?いいなあ。私も早く買い物に行きたいわ。この街はどんなものが売れてるのかしら?うちの商店から商品を出荷できないかしら?」

と、商魂たくましいところを見せていた。

おしゃべりで明るい社交性豊かな人で、茶色の髪に緑の瞳がきれい。


 もう一人は、アクア塔で1階ホールに飾られている絵を見ていた時に、向こうから声をかけてくれた人。

「あなたの紺色の髪に金の瞳は珍しいわね。もしかして、隣国のフォルティス人?」

そういう彼女は金髪に青い瞳で、いかにも貴族だとわかるようなフリルとレースをふんだんに使った真紅のワンピースを着ていた。

「我が国ランドール人の7割が茶髪に緑目。2割が金髪碧眼、残りが黒髪黒目。紺色の髪に金の瞳はほとんどいないわよね?…あら?瞳が光の加減で薄い青がかかるみたい?としたら、両親のどちらかがランドール人なのかしら?」

「あなたは?」

「ああ、失礼。わたくしはエリザベス・アークレー。あなたは?」

「わたくしはソフィア・ダングレー。アークレーって、もしかして王国騎士団団長のアークレー侯爵?」

「あら?ご存じだった。そう、そのアークレー侯爵の長女よ。ダングレーっていったわね、例の、ダングレー侯爵の孫娘さんがあなたね?」

「例の?」

「社交界では知られた話だもの。ダングレー侯爵令嬢がフォルティス人の魔術師と駆け落ちしたけど、女の子一人残して2人とも亡くなったって。その女の子があなたなんでしょう?」


 両親は訳ありだとは思っていたけど、駆け落ちしてたなんて知らなかった。

お父様は確かに私と同じ髪と瞳を持っていたけど、フォルティスの人だったのか。


「わたくし、両親の記憶があまりなくて…。」

「あら、そうだったの、ごめんなさい。…でも、同じ貴族が同級生でうれしいわ。これから仲良くしてくださいね。」


 ランドール国は身分制度が厳格だ。

ただし、魔術師は身分制度の枠から外れるため、本来、この学院では貴族や平民という身分の壁は無いことになっている。

とはいっても、いざ、社会に出れば、やはり身分の壁がどうしてもあり、平民の魔術師の場合、貴族が言うことを聞いてくれないことも多くあるらしい。

そのため、スムーズなやり取りができるようにと魔術師は一代限りとはいえ、貴族位を賜る。

従って、貴族出身の魔術師となると、一気に貴族としての格もはねあがる…らしい。

私は貴族としての教育を受けていないし、貴族だから別格だとは思わないけど、素直に自分の意見をはっきり述べる、誇り高い咲き誇る薔薇のようなエリザベスを嫌いになれなかった。


「わたくしこそ、仲良くしてくださるとうれしいわ。知らないことが多いので教えてくださいね。アークレーさん。」

「いやだわ、同じ家格ですし、お友達になったのだから、リズと呼んでちょうだいな。わたくしはあなたをソフィと呼ぶわ。よろしくて?」

「もちろん!」



一人ぼっちだったソフィアは、早速、友達を見つけました。次回、入学式。

学院生活が本格的に始まります。

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