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魔術師ソフィアの青春  作者: 華月 理風
魔術学院4年生
107/172

4年生後期授業の始まり



 4年生の後期授業が始まった。

相変わらず、Aクラス。成績は2位。1位はまたリチャード。

もう悔しいのを通り越して、尊敬に切り替わってしまった。


学院内は成績やクラスの話より、プケバロスの話ばかりが盛り上がっている。

国内は戦争への緊張が高まってきていたらしく、私は屋敷に閉じこもって、世間を知らなかったことを恥じる。

エリザベスの話では、隣国プケバロスと国境際の小競り合いの回数が増えているそうだ。


エリザベスは父が王国騎士団長で、婚約者のオークレー公爵が宰相だ。

政治も軍事もすべての情報が屋敷にいる限り、聞こうとしなくても耳に入ってきてしまうそうだ


「プケバロスが我が国に侵略しようとしているのは、今に限ったことではないけれど、今までは外交でなんとか抑えていたのに、最近は強気に出ているようなの。無茶な要求を次々言ってきていて、王宮内は緊張が高まっているそうよ。」

エリザベスが、ため息をつく。


「ねえ、プケバロスは魔術師がいないわよね?魔術師軍団が怖くないのかしら?」

ジェニファーが、不思議そうに聞いてくる。

「魔術師はいないわ。でも、人数で押し切ってきたら、魔術師軍団だけでは苦しいでしょうね?本気で来るなら、30万人は来るもの。それに引き換え、我が国の魔術師師団の魔術騎士は、せいぜい100人?それに、我が国の通常の軍隊は全国から集めても、20万人くらいかと、思うわ。」

「そうなんだ…。私はてっきり、魔術師軍団がいつも外敵を退けているとばかり思っていたから。」

「100%間違いではないのよ。今までは、魔道具を使ったりして、1人で何千人も相手にできる魔術師が当たり前に居たそうだから。でも、今はそれほどの実力者は少ないと聞いているわ。魔術師に頼りすぎた弊害でしょうね。一般兵の数が他国より少ないのは。…だから、プケバロスも強気になっているのだと思いますわ。」


「それよりも、ソフィ。スナイドレー公爵、お怪我をされたと聞きましたけれど、ご存じ?」


2人とも、私がスナイドレー公爵家で夏休みを過ごしたとは知らない。また、私も口止めをされている。


「怪我?」

「国境付近を偵察に行かれた際、襲撃を受けたらしいわよ?1個中隊を全滅させたらしいけど、怪我を負われたと、ライアムから聞いたけれど?」

ライアムは、エリザベスの婚約者オークレー公爵の名前だ。

「1個中隊?100人も一人で?…すごっ。」

ジェニファーが口をあんぐり開けている。


1個中隊を相手にしていたのか。彼は。それで、切り傷ひとつって、どれだけすごいんだ。

あれ?でも、魔術剣で打ち合った傷だよね?

なぜ、魔術師がいないプケバロスの中隊とやり合って魔術剣を受けるの?


「ねえ、リズ。プケバロスの中隊には魔術師が居たの?」

「あら?どうして?」

「魔術を持たない100人程度で、スナイドレー教授が怪我するとは思えないもの。」

「あら、そういえばそうね。戦闘魔術の授業の際の教授、すごかったもの。」

ジェニファーも、相槌を打ってくれる。


「…口止めされているから、内緒にしてほしいのだけれど、そう、相手に魔術師が居たそうよ。それも2人。」

「どういうこと?」

「わかりませんの。わたくしも詳細は教えてもらえなかったので。でも、プケバロスに味方をする魔術師が他にも居るらしいことは確かのようですわ。」



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