やめろっ!俺は陰キャだっ!リア充生活は似合わないっ!
うみゃあ!
朝飯は近くの喫茶店のモーニングだ。
『いやあ、なんか旅先の飯ってなんでも美味く感じるよなあ!』
『はぐはぐ、はぐっ!』
夢美はハンバーガーを口に頬張っている。
頬張りながら、ラノベを猛烈なスピードで読んでいる。
『なあ、なんでこいつはこんなに必死にラノベ読んでるんだっ?』
『まあ、午後はなんとしても観光したいからでしょ。』
花蓮は淡々と同人誌を読んでいる。
俺は俺で、ラノベを読むのだが、東京にまできてラノベ読んでるとちょっと悲しくなる。
いやっ!これは全て成功への伏線っ!ということにしよう。
しかし東京観光ってどこに行けば良いのだろうか。
『浅草?秋葉原でメイドカフェめぐり?』
小遣いも限りがあるから、
そんな遠くには行けない。
ラノベもちょっと読みあきたので
スマホで調べる。
『お台場もいいな。スカイツリーもある。うーん、しかし移動が多いと面倒だな。』
ラジオ会館でのお土産は明日でいいな。
『なあ、2人はどこか行きたいとこある?』
連れに委ねよう。
『私はちょっと服買いたいなあ!』
『そうね、ゴシックロリータ服が欲しい。』
花蓮の私服はゴスロリではないのだが、そちらの方にも興味があるのか?
『意外そうな顔ね。売り子やる時に使いたくて。出来ることはなんでもやりたいから。』
なるほどなあ!花蓮はいろいろ考えてくれて、助かる。
『そういうのってどこに売ってんのかね?』
『『原宿よ!』』
♦︎
『ああ!俺には似つかわしくない。』
絶望に陥る。こんなぼっち、陰キャにはマッチしない街だ・・・。
しかしながら、2人を見る。
夢美はもちろん、あのクールな花蓮ですら目を輝かせている。
『こ、ここで逃げるのは武士として許されぬ。行くぞ、従者どもっ!』
『おー!』
『やっぱりヒデ、なんか一緒だと恥ずかしい。』
こんな変人ぼっちについて来てくれるのは助かる。東京だってこの2人がいてくれたから、来れたようなものだ。
昼になる。
『買った、買った!』
『これ来て売り子やろう。』
女子2人はご満悦である。俺もガラにもなく、タピオカとかいふ、やんごとなき飲み物を飲む。
『東京恐るべし。俺が、この俺がっ、こんなリア充の飲み物をっ!』
『タピるタピるー。』
『ヒデ、タピオカは誰にでも平等な飲み物よ。』
タピオカを各々楽しむ。
『さあて、あとなんか寄りたい店あるかっ!』
ぴっ!
2人は、ある機械を指す。
『あ、あれはっ!リア充が消費する、プリクラなるものかあっ!』
震える。プリクラなんて今時、、
『せっかく東京来たし、記念に撮りたいなっ!』
夢美がニカーっと、笑顔を向けてくる。
顔が近いっ!
花蓮には袖を掴まれる。
上目遣いでせがむ。
ふむっ。これでは、ラブコメの主人公ではないかっ!
『し、仕方ない。記念だしなっ!』
3人でプリクラを撮る。
『いえーい!』
『落書き、落書き。』
段取りは女子に任せる。さて、だいぶ遊んだな。
なんだか、ちょっと非日常の2日で、あった。
調子が狂う。
ホテルに帰ったら、スマホでアニメでもみよう。
そう、リア充生活でなくいつもに戻るために調整せねば。
なにせ、地元に帰ったらリベンジマッチが控えているから!