市場調査は思い出作り
ヒデは聖地だっ!みたいな感じでウキウキしてる。
周りの通行人が見てくる。
恥ずかしいが、こんなに明るいヒデを見るのはなんだか、こっちも嬉しくなる。
『夢美!お前、ちょっと根性足りないんじゃないのかあっ!』
ビシッと人差し指を突き出すヒデ。
『ヒデ。恥ずかしいからやめて。』
『花蓮、お前はいつもそうやってクールぶりおって!ほらっ!お前の好きなアニメがあそこにもここにもっ!』
これでもかとまくしたてるヒデ。
こんなにはしゃげるようになったんだね。
それだけはとても嬉しい。
ただやっぱり恥ずかしい。
夢美を煽った結果、警察に行く羽目になる。
花蓮の忠告をきかないからこうなるのだ。
ああかわいそう、
東京まで来て親に怒られるなんて。
そのあとは大人しくラノベや同人誌探しに時間を割く。
花蓮は、絵の研究も兼ねて同人誌を中心に買い漁り、夢美はシナリオのためにラノベ中心に買い漁る。
その様子をヒデは、ほほえましく見ている。
この同好会の要になるのはヒデだ。
企画もスケジュール管理、販売会の手配などプロデューサー的な動きをする。
ヒデは普段はぼーっとしてるし、教室の隅っこにいるタイプではある。
しかしこと、同好会の活動では頼りになる男だ。
微笑ましく見てるだけがヒデではない。
2人に負けじとラノベや同人誌を買い漁る。
本当に好きなんだよな。
そんなこんなでお昼になる。
ラノベや同人誌を明日1日で消化できるか不安だ。
『たぶん難しいというか、東京だぜっ!ちょっと観光もしたい。』
ヒデはそう告げる。
確かに滅多に来ない東京だ。もしかしたら最後になるかもしれない。だからこそ、いい時間をヒデと過ごせれば悔いはない。
ヒデの提案に乗ることにした。
そのあとは夕飯まで買ったものを読み漁り、夕飯ははじめてのもんじゃ焼きを食べた。
そのあと宿に入る。
『今日結構使っちゃったなあ。』
『問題ない、貯金もあるしバイトすれば良い。』
『そうだよねっ!働かざるもの、なんとやらだからねっ!』
『それに、そんなにお金必要ないじゃない。』
夢美はその言葉聞くと、寂しい顔になる。
『そうだね。』
そのあとは各々買ったものを読み漁る。
一文字一文字、噛み締めるように。