14話:本当の嘘
アルゲース領のとある森林、冒険者ランクを上げるための依頼を受けて、依頼の場所に向かって俺たちは歩いていた。すると、急にアレンが俺に声を掛けてきた。
「おい、ネオ! さっき、ギルバードの言ってたことは忘れろよ……あれがもし知れ渡ったら、俺達だけじゃなくて、お前も教会に攫われるぞ」
(何故、こいつが教会が色んなことを隠していることを知っている? それよりもまず何故、闇魔法のことを知っているんだ?)
俺は内心をおくびにも出さずに答える。
「え? なんでそこで教会が出てくるんだよ?」
「……教会が隠したがっていることだからな、それを知ってるとバレたら確実に消される」
(少しカマをかけるか……)
「なるほどな……じゃあなんでそんな隠された情報をアレンたちは知っているんだ?」
俺の質問にアレンは少し考える様子を見せる。
「そ、それは俺達がて――「私たち実は、聖王国の13騎士候補生として育てられていたことがあるんだよ」
アレンが何を言い切る前にメリッサが横から言葉を被せてきた。俺はその言葉にどこか違和感を覚えたが、それ以上の衝撃によってその違和感はかき消された。
「13騎士候補生だと!? じゃあ今も聖王国と繋がりがあるのか?」
聖王国の13騎士とは、聖王国の中から選ばれた精鋭のみがなれる騎士たちのことだ。その力は凄まじく帝国の零団以上の戦力を有していると言われている。まさしく人類最強の部隊と言っても過言ではないだろう。そんな13騎士の候補生として育てられてきたという言葉に驚いたのだ。
「いや、今は繋がりは無いよ……昔の話だからね」
メリッサは今は繋がりがないという、もしまだ繋がりがあったなら、俺はこいつらを始末しなければならないところだった。
「なるほどな……昔の話ってことはそこから逃げ出してきたわけか」
「そんなところ、だから私たちは成人したばかりにも関わらず、戦闘に慣れていたわけだよ」
俺は全てが繋がった気がした。アンリに目をかけていたことも、妙に戦闘慣れしていたことも、闇魔法のことを知っていたことも、聖王国に育てられていたのなら全て納得できる。
「納得した? だからここで話を聞いたことは秘密ね」
「ああ、わかった」「わかったわ」
メリッサは俺とアンリが頷くのを見ると、「ちょっとこっちに来て」とアレンの耳を引っ張って、ボブたちも一緒に少し離れた木の陰に行ってしまった。
アレンたちが離れていくと、アンリが俺に話し掛けてきた。
「ねぇ、ネオ……あなたが隠していることは言わなくってよかったの?」
今日の朝に俺がアンリに言った話だ。
「あー、そういえばクオンから、俺がアンリの護衛をしていることを聞いたんだよな」
「うん」
アンリは頷くが、どこに耳があるかもわからないのに、そのことを話すわけには行かないだろう。
「今はまだ言わないよ……ダメかな?」
「いや、それはネオの自由だけど、仲間に隠し事をするのはよくないから……」
確かにアンリの言う通りだろう。メリッサが自分たちの隠していることを話してくれたのに、俺がいつまでも隠し事をしているのはフェアじゃないだろう。だが、俺の事情を話すにはまずはティリスに確認を取らなくては、
「でも、とりあえず上に聞いてからじゃないと言えないかな」
「あー、なるほどね……ネオ、下っ端だもんね」
「ハハ、そうかもね」
俺ってネオが下っ端なんて言ってなくね?もしかして下っ端に見える? と疑問に思いながらも、愛想笑いをした。
――――
ネオとアンリから少し離れた木の陰で、メリッサはアレンを説教していた。
「あんた、私たちが転生者だってばらそうとしたでしょ」
「仕方ないだろ! あっちにはアンリがいるんだぞ? 嘘を言ったところでバレる」
アレンたちはゲーム内の知識から、アンリの能力を知っていた。
「だったら嘘を言わなければいいのよ」
「そんなの無理だろ! さっきの13騎士の嘘のこともアンリにバレたはずだ」
アレンは反論をする。しかし、キャロが横から呟く。
「メリッサは嘘を言ってない……」
「どういう事だよ?」
アレンは理解できていないようだが、ボブは「あ、そういう事か」と納得をした。
「ボブはわかったのかよ……」
「ああ、メリッサは嘘は確かに言ってない、だって俺たちは、FOのゲーム内で聖王国の13騎士候補としてプレイしたこともあるだろ? だから嘘は言ってないだろ」
FOでは、各陣営に分かれてプレイすることが出来る。その一つの選択肢に聖王国陣営があるのだ、そのルートでは13騎士の候補生としてプレイすることも出来る。そのためメリッサは嘘は言ってないと言うのだ。
その言葉を聞いて、アレンは納得をしたようだった。
「ああ、なるほどな……そういう誤魔化しかたも出来るのか……」
アレンのその言葉にボブたちは「はぁー」とため息を吐いた。
「しっかりしてよね、私たちが頑張らなきゃバッドエンドになってみんな死んじゃうんだよ?」
「分かってるよ、気を付ける……アンリを帝国や聖王国に奪われたら、やばいことになるもんな」
アレンたちは頷き合う。だがアレンは一つ疑問に思ったことがあった。
「そういえば、昨日は帝国のイベント起こらなかったのか?」
その言葉に一同がまた、ため息を吐いた。
「もし帝国のイベントが起こっていたら、今頃アンリはここにはいないでしょ?」
「ああ、そっか」
「ホントにしっかりしてよね」
アレンはメリッサにジト目で見られて、汗を流す。
「ハハハ、気を付けるよ……とりあえず、アンリたちのところに戻ろうぜ」
「確かにあんまり長く離れていると、怪しまれるものね……」
そう言ったアレンたちは、アンリのところに戻った。




