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偽りの英雄~彼女に振られて異世界転生~  作者: オク炭治郎
第0章:ゲームストーリー開始前
30/62

27話:神話級魔法師

 メラレーンの臍の上に戻ってきた俺はセレスに呼ばれた。

 どうやら話し合いをしたいようだ。


「簡易的な防壁は出来ました。ここからは作戦通りに行きましょう」


 流石にここで作戦を聞いておかないとやばいだろう。


「質問いいでしょうか?」

「どうぞ」

「ここからの作戦はどのようなものを考えているのですか?」

「あなたが初め考えていた作戦通りですよ?」


 俺が初めに考えていた作戦ってなんだよ?

 何か特別なことは言った記憶がないが……


 その時、ドゴンと何かが防壁に当たる音がした。


「やはり、来たか!」「帝国側には伝説級もいるはずだぞ? 守り切れるわけがない、セレス少将逃げましょう」「セレス少将が取りに行くといったから、従ったが、俺は無理だと思ってたのだぞ」


 軍人たちが騒ぎ出す。


 防壁に火の塊がぶつかり爆発する。氷、風、岩が当たり壁を崩す。雷が壁を貫通する。

 これは帝国側からの魔法攻撃だろう。だがそれにしても数が多すぎる、数秒の間に数百の魔法が防壁に当たりどんどん削れていく。


「帝国側の魔法師が多いぞ、援軍がいるんじゃないか?」「反対側に周りこまれて逃げ道を塞がれたら、終わりだ。逃げよう」「元はといえば、元奴隷の提案じゃないか、ふざけるな」「「「そうだ、そうだ」」」


 軍人たちが俺のことを攻め始める。高所を取るデメリットとはこのことだったのか、目立つ位置にあるため相手の魔法師から魔法の狙い撃ちされるという。


 だがこの程度ならなんとかなるだろう。何をこんなに騒いでるんだ? こちらがもう少し耐え切って魔法師の魔力が尽きれば、今度はこっちから攻勢に出れるはずだ。


「静かにしてください! 作戦はまだ続いてます。ここからは防壁が抜かれるギリギリまで敵を引き付けます、地の魔法師は壊れた防壁を直して補強してください! 他の魔法師は飛んでくる魔法に対応してください」


「セレス少将! 逃げましょう!」


 セレスが指示しても、王国兵士は逃げることしか考えていない。


「黙って指示に従え! 王国側が勝つにはこうするしかないのです!」 


 セレスの普段の丁寧な口調からは考えられないほどの強い口調だった。


「ここでもし逃げたとしても王国が負けますよ? 故郷に大切な人を置いて来た人もいるのでしょう! 私の指示に従って頂ければこの戦争は絶対に勝てます!」


 セレスの言葉はもっともだ。ここで逃げても意味はないもうメラレーン戦線は2000人ほどしか兵士がいないのだし、直ぐに潰されて、王国の主力がいるゴモス平原が挟撃される形になるだろう。ならばせめてここを守り切らなくては


「どうせ逃げたって王国が負けたら意味がない!俺はセレス少将に従うぞ!」「セレス少将は天才だもんな」「俺らが考えたところでわからないこともあるよな、なら俺たちはただ従うだけだ」


 セレスの指示に軍人たちが従っていく。


 そして帝国側の魔法で崩れかけている防壁が修復されていく。


 王国の魔法師も魔法を使うことで帝国側の魔法を撃墜していく。


 いい調子だ。このまま行けば帝国側の魔力が尽きるまで耐えきれるだろう。


 そう思ったのも束の間だった。


 次の瞬間、


――防壁が一瞬にして吹き飛んだ。


 炎が爆発したのだ。


 近くにいた人が吹き飛ぶ。巻き込まれて焼かれる。


 まるで、爆撃を受けたようだった。



 火の伝説級魔法師の魔法だろう。敵の大将の攻撃だ。


 俺は計算を間違っていたことに気付いた、伝説級魔法を低く見積もっていたのだ。

 希少級と特別級であれだけ魔法の範囲を殺傷力も違うのだ、それが伝説級にもなったらどうなるはずかもっと深く考えたらわかった筈だ。


 軍人たちが逃げようと言っていたのは伝説級魔法師がいるからだ。

 この世界では手軽にこのクラスの魔法を使える人間がいる、だから高い場所を取って目立つとこうなるのか。


 俺は焦ってセレスを見る。しかしセレスは焦りを一切見せていなかった。


「そろそろ潮時ですね……帝国兵も引きつけられたのでだいぶ近づいて来てくれました」


 もう一発さっきの火の魔法が飛んできた。


 直系50mほどの大きな熱量を持った火の塊だ。


 もはや大きすぎて小さな太陽のようだ。その膨大なエネルギーから起こる爆発は威力が計り知れないほどだろう。


 しかも今度は防壁がないため、直で俺たちに当たるコースだ。


「セレス少将! どうするのですか?」


 目の前に火の塊が迫っているのにセレスは余裕そうだった。


「大丈夫です……」


 炎に王国軍が飲み込まれそうになった時、


 王国軍の目の前に大きな氷の壁が現れた。


 炎が氷にぶつかり大爆発を起こす。




 長い青い髪が風に揺れている。


 女性にしては高めの身長。


 そのスラッとした身体からは凄まじいほどの魔力が溢れ出ていた。


 俺達の目の前には、思わず委縮してしまうほどの美貌の持ち主であるフェール・タラッサが居た。


「……だって王国最強の魔法師がこちらにはいるのですから」


 王国軍の総大将であり、最高位の魔法師である神話級魔法師だ。

 

 

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