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偽りの英雄~彼女に振られて異世界転生~  作者: オク炭治郎
第0章:ゲームストーリー開始前
17/62

14話:開戦と無双

 

 大陸史において、後世に名を連ねる英雄たちが多く存在する。中でも歴史に名を残す大英雄が多く生まれたのは、王国史645年から数十年の間に起きた。大陸全土を巻き込んでいく戦乱の時代だろう。


 その中でも異質な英雄がいる。

 諸説によると、その英雄は元は奴隷だったらしく、645年における王国と帝国の戦争。後のメラレーン戦争に突如として現れた。その英雄の異名は

――『純白の英雄』。

 645年時点ではこの名前が一番有名であろう。

 その武力と知力によって帝国に一番の打撃を与えた。

 メラレーン戦争における一番の活躍をしたと言っても過言ではないだろう。

 そんな英雄の初陣はメラレーン森林。王国軍約七千、帝国軍約一万一千。奴隷と正規兵。

 圧倒的に不利な状況で始まった。

 この時は王国が誰もが勝つことは不可能だと思っていた。

 『湖の女王』と『純白の英雄』以外は。



――――



 メラレーン森林国境付近。


 そこには異質な部隊がいた。


 戦闘にいる白い髪に白い槍を持った男が帝国兵を刈り取っていく。手に持った槍を使い、時には首を跳ね飛ばし、時には頭に穴を開ける。帝国兵の屍がどんどん多くなっていく。まさしく一騎当千と言ったところだろう。


「悪魔だ。みんな逃げろ!」「助けてくれ!」

 

 帝国兵が白い男から逃げようとする。しかし、強いのは白の男だけではなかった。

 その後ろに続く、男たちも凄かった。男たちの武具は使い古されてボロボロになっている。しかしその見た目に反して一人ひとりが鎧を纏った帝国兵に打ち勝っていく。帝国兵の損害は多いが、男たちは怪我は多少あるものの誰一人として倒れていなかった。


「こいつら、みんな魔力浸透を使ってやがる奴隷兵のくせしてあり得ない……そ、そうか王国軍は奴隷兵に見せかけて精鋭部隊を送ってきたのだな! そうに違いない撤退だ!」


 帝国兵の小隊長が逃げようとしている。


「ルーイ頼む!」


 クオンがルーイに話しかける。


「――氷結(コールド)


 ルーイが水属性の魔法を使う。

 すると地面の泥が凍り。帝国兵の小隊長の足元が凍り付く。


 その瞬間、クオンが凄まじい速度で飛び出して、帝国の小隊長の首を切り落とした。



――――



「なんとか、魔法を使わせずに倒すことが出来たな」


 俺は帝国の小隊長の首を後ろの荷物持ちに渡した。本日で三人目だ。

 そろそろ日も落ちるし、味方の魔力も体力も少ない。どうやら人を殺すのが初めての奴もいるらしく、精神的にもやられてるやつもいる。


 俺自身も人を殺すのが初めてなはずだ。しかし何故だろう、罪悪感などといった感情が一切湧いてこない。せめて楽しいとかそういう感情があったら実はサイコパスだったんだなと思うが、ほんとに人を殺しても何も感じないのだ。まるで人を殺すのをなんとも思ってないかのように……


 俺も疲れているのだろう。疲れていて感情が湧かないだけだ。きっと。

 今日はもう帰るとしよう。

 


 俺たちは初日で三つの部隊を壊滅させた。一つ目の部隊の時は、敵の部隊に数人いる魔法師に魔法を使われて、俺やルーイが何発か魔法を防いだが何人か怪我を負ってしまった。しかし次の部隊からは俺が魔力探知で魔法師を探して、優先的に倒していったため、余り被害は出ていない。初日にしては充分な戦果だろう。


「あれ、でもどこに帰ればいいんだ? 何も伝えられてないよな? ルーイはどこに戻ればいいか知ってるか?」


 俺は戦えと言われただけで、夜になってから戻る場所を聞いてないのでルーイにそう尋ねた。


「僕も知りませんよ。オーウェン大尉はどこかに行ってしまいましたし、どうしましょう?」


 まさか真っ暗な森林地帯の中、休まずに戦えというのだろうか? 流石に鬼畜すぎるぞと俺が考えていると急に後ろから声をかけられた。


「各戦線ごとに臨時基地を作ってあるから、君たちはそこに戻ってもらうよ」


 オーウェン大尉だ。いつ後ろに来たのだろうか、俺は魔力探知を使っていたはずだ。何故か大尉からは魔力を感じることが出来ない。


「しかし、素晴らしい戦果だね。帝国の小隊長の首三つか、凄いね。基地に戻った時、楽しみにしておきな」

「わかりました。ありがとうございます」


 大尉は掴みどころのない人だった。


 

――――



 俺たちが基地に戻ると、俺達以外の空気は重かった。


 どうやら、メラレーン戦線では初日から帝国兵にボロボロにやられたらしい。壊滅した部隊もいくつもあるという。

 戦果を挙げたのは、この第四戦線の中だと俺たちだけだ。


 そして、戦果を挙げた俺は、司令部に呼ばれていきなり奴隷から解放されることになった。大尉が楽しみにしておきなと言ったのはこのことだったのか。

 ただし、奴隷の首輪を取ることが出来るのは光の魔法を使える聖職者だけなので、この戦争が落ち着くまでは正式に奴隷から解放されるわけではないが。


 しかし戦争が落ち着くまでな……ほんとに勝てるのか? この戦争? 

 俺はオーウェン大尉から基地に帰る途中、戦況を聞いていたので不安になった。



 オーウェン大尉が言うにはどうやら上層部は、メラレーン戦線で俺たちが帝国兵の進撃を耐えている間に、ゴモス平原を攻略するつもりらしい。しかし、想像以上にメラレーン森林では初日から損害が激しく、想像以上にゴモス平原の戦いは拮抗しているらしい。

 このままだとゴモス平原の戦いを終わらせて、こちらに援軍が来る前に逆にメラレーン森林の戦線を帝国軍に取られて、そのまま王国軍は挟撃される形で負ける可能性が高いらしい。



 俺たちの初陣は成功したがあくまで一部での勝利だ。このままいけば王国は負けるだろう。


 戦争前にはなかった『負ける』という不安が急に襲ってきた。



主人公の基礎能力

魔力量:A

身体能力:C+

魔力操作:A-

精神力:D

魔法:?の普通級加護

槍術:B+

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