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偽りの英雄~彼女に振られて異世界転生~  作者: オク炭治郎
第0章:ゲームストーリー開始前
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9話:奴隷たち

 

 ルーイとの戦闘から数日が経ち、俺が奴隷部隊のリーダーになることが決まり。

 戦争に行く奴隷たちとの顔合わせの時間が来た。


 教官が言うには、ヘイトス帝国との戦争はほぼ確定で起こるらしく、今から早かったら数か月、遅くとも1年以内には始まりそうだということだ。

 それまで戦争に行く奴隷たちは、ダンジョンに行かなくていいので戦争の訓練をしろとのことだ。

 あと連携力を高めるために、俺がこの奴隷たちを戦争が始まるまで訓練しなければいけないらしい。




 200人の屈強な男たちが武器を持ち、並んでいるところを見ると壮観だ。

 俺は奴隷たちの前に立つ。隣の教官が口を開く。いつものゴリラ……いやリク教官じゃなく、剣を指導している教官だ。


「こいつはE49、いやクオンだ。お前たちの隊長になる予定だ、おい、クオン挨拶をしろ」


 E49とは俺のここでの奴隷名だ。いつもはあだ名か名前で呼ばれていたため久しぶりに聞いた。

 やはり、いくらここが居心地が良くても奴隷なんだと実感がわいてくる。


「奴隷名はE49だ。まあリーダーでも隊長でもクオンとでも適当に呼んでくれ」


 同じ訓練をしていたやつや、ダンジョンで俺の戦闘を見たことあるやつ以外の、大半の奴隷は細身で全体的に白い俺の体と白い髪色を見て、侮蔑の表情をしている。

 ダンジョンではだいたい身体強化をしていたため、二年たってもあまり筋肉はついていない。こんなことなら筋トレをしとけばよかった。


 仕方ない、奴隷たちをまとめるために強く言うことにする。俺はわざと魔力放出をすることで威圧感を出す。


「俺に従えない奴や文句があるやつは前に出てこい、直接指導してやる!」


 それを聞いた奴隷たちの中から、ニヤニヤしながら10人の奴隷が俺の目の前にくる。筋肉はついているが、魔力の流れを見ると、魔力操作のレベルは低い。せいぜい身体強化しか使えないだろう、しかも練度も大して高くなさそうだ。


 俺はいけるなとニヤリとし、殺さないためにも木の槍を持ち、目の前の奴隷たちを挑発する。


「俺は木の槍を使うがお前らは刃の着いた武器を使っていいぞ。あと10人まとめて相手してやる、掛かってこい」

「上等だ、ぶっ殺してやる」


 奴隷たちはそれに腹を立てたらしく、武器を構え向かってくる。


 身体強化の練度が低く遅い。俺は圧倒的な力の差を見せつけるため、それらをわざと避けない。体に剣や槍が突き刺される。

 しかし、魔力浸透も出来ていない武器での攻撃では身体強化の練度が奴隷のやつらとは桁違いの俺の皮膚には刺さらなかった。


「……な!なぜだ!なんで剣で切れないんだよ!」


 奴隷たちが困惑する、俺は手にもつ木の槍を使って、奴隷たちを薙ぎ払った。そして、戦意を喪失している奴隷たちを一人ひとり、痛めつけてやった。異世界にきて初めての人に対する暴力に、僅かに興奮しながら…


「……これで、文句はないな。文句があるやつはまだいるか?」


 200人の奴隷たちから前に出てくる奴はいない。

 俺の前には、10人の奴隷たちが倒れている。だいぶボコボコにしたため、気絶しているやつも何人かいる。

 まあ、俺は奴隷たちをまとめるカリスマ性などは持ち合わせてないため、暴力により200人という大人数を支配するしかないだろう。



 近くにいた剣の教官が声をかけてくる。

 

「戦闘狂っていうのは本当なんだな」

「……戦闘狂って何でしょうか?」

「ダンジョンにずっと潜ってるじゃないか、ロストダンジョンに潜る奴隷は普通は休みながら潜るし……その割には魔石を提出しないから、モンスターを倒すだけ倒して、魔石を取る時間も惜しんで、戦ってるって噂だぞ」


 おいおい、魔石を取りだす時間も惜しんでモンスターと戦い続けるとかどんな戦闘民族だよ……ダンジョンで魔力操作の練習をずっとしているから、ダンジョンに潜る時間が多いのであって、けして戦闘狂ではないと思う。まあ、奴隷たちを指導するには戦闘狂と思われてる方が好都合かと思い話を合わせる。


「戦うのって楽しいですよね。なんか生きてるって感じがしません?」


 剣の教官は顔を引きつらせた。


「……今日は顔合わせだけでこれで終わるが、明日からの訓練は部隊の連携力も高めるために、君に教官役をしてもらうが、奴隷たちを殺すのはなしでな」


「大丈夫です。殺したら勿体ないじゃないですか、これ以上戦闘できなくなるんで」


 俺はそう言うと、剣の教官は恐怖の感情を僅かに見せてさらに顔を引きつらせた。



――――



 一日が経った。今日からは奴隷たちとの戦闘訓練だ。一応教官たちも指導を手伝ってくれるが、基本的には俺が中心になって教えなければならない。


 とりあえず今の練度を見るためにも、二人一組になってもらい、身体強化などの魔術ありで戦ってもらうことにした。


 奴隷たちが剣と剣、槍と槍を打ち合わせあっている。教官に指導されているだけあって武器と身体強化の練度はそこそこだろう。だが奴隷たちは武器での戦いで重要な魔力浸透が出来ていなかった。


 基本的によほど才能が無い限り人は身体に魔力を巡らせて身体能力を上げる魔術である身体強化は数か月で出来るようになる。そこから練度を高めていくのは努力が必要なことだが……

 しかし身体の外に魔力を纏わせるという技術である魔力浸透はこの世界では才能が無ければ出来ない技術とされている。


 それで何故、魔力浸透は重要なのかというと、魔力を纏ったものは、魔力を纏っていないものや物理攻撃を防ぐ効果がある。つまり何が言いたいのかというと、大半の兵士は身体強化で身体に魔力を纏っていて耐久力は高いが、魔力浸透が出来ず武器に魔力を纏わせることが出来ないので同じ兵士()相手には攻撃力が低いということだ。


 そのため魔力浸透を使えるか使えないかで、魔法の使えない兵士同士での戦いは決まると言っても過言ではないだろう。


 しかし、この世界の住民は何故か魔力を身体の外に出すことが苦手なようだった。それにより魔力浸透や魔力探知といった魔術は難しいとされている。


 相手はモンスターじゃなくて身体強化の使える人間の兵士相手だ。大体の訓練の方向性は決まったな。


「戦うのをやめて、俺の方に集まってくれ! 今後の訓練の内容を伝える」


 俺は奴隷たちにどのように訓練をしていくのかを伝える。


 しかし、数か月で武術ギルドでも上級クラスと言われる魔力浸透を出来るようになるのだろうか? そして、今以上に戦闘技術を高めないとな。奴隷だけでなく俺自身も……



奴隷たちの基礎能力※平均

魔力量:E

身体能力:D

魔力操作:E

精神力:E

魔法:無し

武術:E

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初めての人に対する暴力に、僅かに興奮しながら… 良いですね。 デスゲームお疲れ様でした。 この話数までくると、第1話あたりと比べて読みやすくなっている感じがして凄いなーと思います。
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