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La lune

作者: 緋高良介
掲載日:2009/08/21

空に浮く月はダイヤモンドの塊で、それを囲うようにダイヤモンドの周りに石を貼り付けた。


月の光は、石から洩れるダイヤの光。だから月の石は光ってないでしょう?


そして徐々にダイヤの重さで地上に落ちてきて、夜になると欲と好奇心の塊の人間に荒らされないよう、引力で浮いていく。


そして月に魅せられし人間は、いつしか月に行きたいと憧れ、いろんな妄想やイメージを作った。

月は魔女界と人間界との入り口だとか、月が地球を滅ぼすとか。あと、月は儲かるだとか、邪な考えの人間も。


そんな月は実は幻想で、宇宙に行っても見つかりはしない。

月に行ったって、それはただの隕石。ね、光ってないでしょう?

月は実在しても又、人間が行くべき場所ではない。人間が月にもたらすものは、決してない。あるのは、デメリットのみ。


好奇心と欲の塊の人間は、その分臆病だ。

太陽に近づこうとしないのは、燃えることを恐れてるから。

そこは人間なことだ。まぁ、ただの生物上一の臆病者だけだが。




「それは新作?」

「…他の作家の作品とはカブってはなさそうでしょう?」

「確かに由伊の独特の感性だね。」

「絵本にするのは難しそうだけど」

「あはは」


出来なくないのなら難しいも簡単もないじゃないか。とユズヒトに、そうだな、とクスリと由伊が笑う。


首に軽くかかる程度のユズヒトの後ろ髪がサラサラと風になびく。

深夜と早朝の間の時間の今は人工の光が少ない時間帯で。

かなり大きくみえる月が半分山に隠れており、それはかなり神秘的で、まるで月がドロリと山に喰われているようにも見えたのは、絵本作家の職病だろうか。


ひやりとした冷たい空気が、ふっと肌に触れた。それにゾクゾクと恐怖と快感を感じる。


「星屑なんて言葉、誰が考えたんだろうね」

「誰かがロマンティックだと思ったんだろうか」

「…星が砕けたら?」

「そういう意味じゃあ星屑は隕石かもな」

「ねぇ、ユズヒト」




もしも月が死んだなら


(地球は一つになれるのだろうか)

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